Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.57
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2012  57
第7回CART研究会
CARTの基本と癌性腹水治療への積極的応用
座長・報告  湘南鎌倉総合病院 副院長・オンコロジーセンター長  太田 惠一朗
 第7回CART研究会の基調講演として「CARTの基本と癌性腹水治療への積極的応用」と題して、要町病院腹水治療センター松ア圭祐先生にお話していただいた。
 癌性腹膜炎に伴う難治性腹水は、強い腹部膨満感や呼吸苦などを生じ患者のADLを著しく低下させるのみならず、積極的な抗癌治療を中止せざるを得ない。演者らは2009年2月から、膜洗浄機能を有し多量の癌性腹水に対応可能であり、より簡便な新方式の外圧式CARTシステムを考案し施行してきた。外圧式CARTの基本構造と膜洗浄液から回収された癌細胞を利用した新たな癌治療への応用について報告した。
 卵巣癌:61例、胃癌:40例、大腸癌:27例、膵癌:22例、その他:68例の計218例を対象に外圧式CARTを施行し、腹水1.6〜14.9?(平均5.7?)を採取し、膜洗浄回数は0〜10回(平均2.8回)、所要時間は5〜140分(平均52.1分)で、処理速度は平均9.1分/?、処理後の濾過濃縮液:150〜2000m?(平均670m?、総蛋白濃度:8.0〜21.0g/d?)を点滴静注した。施行直後から腹部膨満感や嘔気、呼吸苦などは消失し、ADL改善に有効であった。化学療法の再開、腹水再貯留を来さず長期在宅移行が可能となった症例もあった。胃癌9例の洗浄液から回収できた癌細胞は0.24〜11.2×108cellsであった。外圧式CARTは自覚症状と共に全身、栄養、免疫状態の改善が期待でき、癌性腹水に対して積極的に施行すべきである。膜洗浄液から回収される癌細胞数が樹状細胞ワクチン療法のための自己抗原として十分利用可能であり、今後の細胞療法や抗癌剤感受性試験など、回収癌細胞の治療・研究への応用が期待される、と結んだ。

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