Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.57
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2012  57
ワークショップ4
ガイドラインを使いこなす3
〜がん疼痛に関するガイドライン〜
座長・報告  一般財団法人同友会 藤沢湘南台病院  林 ゑり子
座長  埼玉県立がんセンター 緩和ケア科  余宮 きのみ
 2年前に出版された「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2010年版」は、がん疼痛治療における標準的治療や基礎となる知識が盛り込まれ、多くの施設で助けとなっている。本ワークショップでは、本ガイドラインにより親しみを持ち、どのような職種でも最大限に活用できるように、多職種の立場で活用方法を講演していただき、会場の参加者と討議できるように企画した。
 最初は、「非オピオイド鎮痛薬を使いこなす」をテーマに埼玉県立がんセンター 薬剤部 芝ア由美子先生にご講演していただいた。軽度の痛みに対して非オピオイド鎮痛薬であるアセトアミノフェンあるいはNSAIDsのどちらを選択するか、薬剤プロフィールの異なる多くのNSAIDsの中でもどれを使用すべきかなどを参加者と考える時間になった。
 次に、「突出痛への対応」をテーマに外旭川病院 ホスピス科 松尾 直樹先生にご講演していただいた。突出痛の評価の重要性とレスキュードーズの考え方について、突出痛は「予測できる突出痛」「予測できない突出痛」「定時鎮痛薬の切れ目の痛み」の3つによって疼痛治療が異なるため、適切な評価がなければ突出痛の治療にはつながらないことをわかりやく解説していただいた。
 「神経障害性疼痛への対応」について、長崎大学病院 麻酔科・緩和ケアチーム 北條美能留先生に講演していただいた。神経障害性疼痛の治療では、鎮痛補助薬が使用される場合が多いが、ガイドラインでは弱い推奨とされていることも多い。原因や病態による分類の確立が困難なことや、患者さんの中に複数の病態が混在しており、一定の結果を見出すことが難しいこと、さらに、鎮痛補助薬には種類も豊富に存在し、ガイドラインではそれぞれの優劣を示す十分な根拠を示すことが難しいことも会場の皆さんと共有する機会となった。
 最後に「がん疼痛マネジメントにおける患者教育」について、静岡県立静岡がんセンター 看護部 久山幸恵先生にご講演していただいた。本ガイドラインでは、がん疼痛マネジメントを受けている患者に教育を行うことが推奨されている。ここでは、患者と家族のセルフケアレベルや対処能力に応じた痛みのコントロールを図るために、患者と家族の大事にしている価値観や文化的な背景に配慮した継続的なコミュニケーションが大切であることをご紹介していただく機会となった。
 本ガイドラインをより身近なツールとして感じ、どんな施設でも、どんな職種でも今よりももっと活用でき、患者さんの疼痛治療の助けになることを願う。

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