Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.57
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2012  57
ワークショップ3
口腔ケアハンズオンセッション
座長・報告  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 口腔顎顔面外科学分  佐々木 朗
 岡山大学病院腫瘍センター所属の歯科衛生士、杉浦裕子先生による口腔ケアのハンズオンセミナーを開催しました。がん医療において口腔衛生管理の重要性は理解されていても、原疾患の治療の緊急性や忙しい医療現場の現状から優先順がどちらかといえば低い状況にありました。また口腔内を清潔に保つことの重要性はわかっていても、実際の患者では齲蝕や歯周病の保有、補綴装置の有無などその対応は様々であり、具体的な方法論やコツについても情報が十分ではありません。近年、EBMの集積や、多職種による連携医療の推進が行われ、特に医科歯科の連携では緩和医療に限らず多くの局面で口腔ケアの重要性が明らかになってきました。そういった背景から、今回実践的なハンズオンセミナーを計画しました。当初50名の受講者を予約制で募集しましたが、希望者が多く80名に増員しました。医療関係者の口腔ケアへの関心の高さを示すものと思います。
 ご講演では、岡山大学病院の医療連携の活動状況や、杉浦先生の口腔ケアの介入を行った多数症例を通じての問題提起と臨床に役立つ対策について症例写真や動画を用いて発表されました。わかったつもりで行っている口腔ケアが、実は患者の不利益になっている事例があること、造血幹細胞移植の患者では僅かな歯の鋭縁が大きな口腔潰瘍を引きおこすことなど提示され、湿潤と保湿など臨床経験と根拠に基づいた実践的な対応が示されました。参加者は、実際の症例から多くのことが学べたものと思います。実技実習では、実際に綿棒を使っての保湿材やワセリンの塗布法、ブラシング法、効果的な含嗽法などの指導が行われました。口腔ケアは、患者自身が積極的に受け入れ、家族、医療従事者が共同で当たることが最も重要なことであることが理解されたものと思います。
 質疑応答では現場での苦悩ともいえる質問もありましたが、それぞれ修得されたことを医療現場に戻られて実践されることを望みます。

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