Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.57
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2012  57
パネルディスカッション2
サバイバーシップという考え方〜がん治療を終えてからも ひろく ふかく たかく
座長・報告・演者  聖路加国際病院 乳腺外科、ブレストセンター  山内 英子
 サバイバーシップという概念をもってがん患者の治療に当たる。とても重要なことを、今回、松岡大会長のご配慮で、日本緩和医療学会でパネルディスカッションとして取り上げていただいた。しかも、医療者のみでなく、がんという病を実際に経験し、それを乗り越えてきた、いや、乗り越えている、まさにがんサバイバーをパネリストに迎えてともに考えていくという形で実現した。キャンサーサバイバーシップの推進に早くから貢献しているアメリカから、MDアンダーソンがんセンターのLewis Foxhall先生をインターナショナルレクチャーの講師としてもお招きして、まず、アメリカでの歴史、実際、また医療者への教育などについてもお話いただいた。
 引き続いて、がんサバイバーの立場から、がんサバイバーの就労問題など、治療を終えてからの生活を支える活動などを行っているNPO法人HOPEプロジェクト代表で、ご自身が乳がんのサバイバーである桜井なおみさんからお話をいただいた。キャンサーサバイバーシップには4つの側面―身体的、心理的、経済的、スピリチュアルな問題―がある。この4つがそれぞれ側面として柱の壁を作るように存在するのではなく、手術や治療による身体の変化や喪失感、心理的な不安や恐怖、経済的にも職や財産を失う、また家族友人を失うこともあり、それらの苦悩の後、残ったものは自分のスピリチュアルな根源への問いかけ、その痛みであるとの提言。医療従事者はその患者の痛みに寄り添っていく必要性があると思った。続いて、精巣腫瘍を若くして罹患し、つい先月、対側の精巣腫瘍で手術をされたばかりのTBSテレビ解説員の小嶋さんからその経験、治療後にも考えなければばらない、さまざまに患者を襲う病態に目を向けることの大切さを学んだ。
 医療者からは博愛会相良病院の看護師である江口恵子さんが、病院での取り組みを、名古屋医療センターの下山理史医師は、その患者のみならず、患者の家族へのサポートをお話下さった。みなさんの発表を受け、私からはサバイバーシップの概念とそれを実践するために大切な患者を知ることを強調させていただいた。ディスカッションでは、医療者対患者と言った目線でいてもいつまでも変わらないと言ったご意見にあるように、また、われわれも医療者でも、実際にがん経験者もいれば、その家族でもあり、皆が、がんサバイバーであり、垣根を越えた、皆で考えていく問題であることの共通認識で幕を閉じた。

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