Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.57
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2012  57
シンポジウム2
非がん疾患の緩和ケア
座長・報告  東京ふれあい医療生活協同組合 梶原診療所  平原 佐斗司
座長・演者  医療法人社団慈恵会 北須磨訪問看護・リハビリセンター  
慢性疾患看護専門看護師  藤田 愛
 前回の第16回学術大会における非がん疾患のシンポジウムでは、緩和ケアは疾患を問わず、死に直面するすべての人に提供されるべきケアであり、日本緩和医療学会でもこの課題に積極的に取り組んでいく必要があることを確認した。
 今回の第17回学術大会では、急性期病院、緩和ケアチーム、在宅といった各方面から4名のシンポジストを迎えて、熱心なディスカッションが行われた。
 心不全の急性期病院での緩和ケアを実践している兵庫県立姫路循環器病センターの大石醒悟氏は、循環器病領域での心不全の終末期の緩和ケアの動向を紹介した後、自院での緩和ケアの教育と臨床実践について報告した。
 北里大学医学部神経内科学の荻野美恵子氏は、ALSの終末期の緩和ケアの豊富な実践から、特に呼吸苦に対するモルヒネの有効性と使用法について報告した。非がん疾患の緩和ケアの対象となる疾患の多くは、いわゆる慢性疾患であり、慢性疾患の「病の軌跡」の下降期や臨死期にあたる。
 北須磨訪問看護・リハビリセンターの藤田愛氏は、慢性疾患専門看護師の立場から、在宅での超高齢の看取り例を提示し、訪問看護での非がん疾患患者の看取り期の関わりについて報告した。
 亀田総合病院、疼痛・緩和ケア科の関根龍一氏は、米国の緩和ケアチームの活動に触れ、今後わが国でも急性期病院の緩和ケアチームが非がん疾患の緩和ケアのコンサルテーションを担っていくことの必要性について報告した。
 今回のシンポジウムでは、とりわけ急性期病院での緩和ケアの取り組みがわが国でも始まっていることにたいへん勇気づけられた。今回の一般演題の中にも緩和ケアチームが院内の非がん疾患の緩和ケアへの関わりを始めているという報告が散見されたが、このような緩和ケアチームの取り組みが、急性期病院での非がん疾患の緩和ケア普及にとってのブレークスルーになるかもしれない。

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