Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
学会印象記
第38回日本看護研究学会学術集会に参加して
名古屋大学大学院医学系研究科看護学専攻  安藤 詳子
 日本看護研究学会は、看護系学会の中で最も歴史が古く、現在、約6000名の会員で組織され、ジャーナルは今年度35巻目となり年間5冊を発行して、看護学の発展を牽引してきた。
 今回は第38回目の学術集会となり、琉球大学医学部保健学科地域看護学の宇座美代子教授が学会長を担い、2012年7月7〜8日、沖縄コンベンションセンターにて開催された。梅雨の影響か、東日本・西日本と雨模様であったが、幸運にも沖縄の空は快晴でコバルトブルーの海が広がる中、快適にスタートし、約1300名余りの会員が参集した。
 学術集会テーマは「文化に根ざす看護研究の道―沖縄から発信―」であり、会長講演では、沖縄の方言「ユイマール」(助け合い)、「イチャリバチョデー」(会えば皆兄弟)、「チュガルクスイヤンドウ」(人が薬である)など、人との繋がりや高齢者を大事にする風土について説明され、また、沖縄特有の死生観に触れ、長寿社会や高齢者を中心とした沖縄のスピリチュアルケアとの関連性について言及された。特別講演では琉球舞踊や音楽を話題とし、シンポジウムでは沖縄戦の影響による精神保健上の問題や伝統的な洗骨葬など取り上げられた。緩和ケアに関連し、そこに学ぶ多くのヒントがみられた。
 一般演題は、口演148題、示説325題で、看護教育・看護技術・看護管理などのセッションが多く見られる中で、がん看護・緩和ケアもあった。私が座長を務めた口演発表の演題は、「終末期にある心不全患者への関わり―医師と看護師の認識の相違から―」「施設における看取りの援助―ある事例の支援経過を振り返って―」「看護師の語りから見えてくる告知を受けたALS患者の看護の実態」「緩和ケアに携わる熟練看護師のタッチの意味」の4題であった。より良い看護実践を希求するが故に沸いてくるナースのジレンマ、そこから少し冷静になって、その問題に研究として取り組み、現実を客観視して打開策を切り開こうとしていた。
 沖縄返還40周年の今年、本集会が初めて沖縄で38回目に開催され、時の流れに染み入るとともに、学会参加者も現地にて重みある足跡を各々に感じ取れたことは感慨深い。

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