Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
学会印象記
Pre-congress seminar参加印象記
北九州市立医療センター 緩和ケア内科主任部長   小早川 晶
 7th World Research Congress of the European Association for Palliative Careに先立って、2012年6月4日と5日の2日間、ノルウェーのInderoyで、European Palliative Care Research CentreとEuropean Association for Palliative Care Research Network主催のセミナーがありました。参加者はイギリス、アイルランド、フランス、イタリア、スイス、デンマーク、スペインなどのヨーロッパ各国からとオーストラリア、ニュージーランド、アメリカ合衆国、カナダ、インド、ペルーから56人でした。日本からは筆者と東札幌病院の中島信久緩和ケア科部長の2名が参加しました。
 6月4日は、Inflammation and cancer painについて、オーストラリアのAndrew Somogyiが、Basic mechanisms in cancer-related dyspneaについて、オーストラリアのDavid Currowが、そしてBasic mechabisms in cancer cahexiaについてカナダのVickie Baracosが概説することから始まりました。講師が話している最中にも、各国のリサーチャーから意見が入ることがしばしばありました。その後、cancer pain 、dyspnea、cahexiaの部門でParallel sessionに分かれました。私は、dypneaのセッションを選びました。オピオイド、特にモルヒネを使用する前後での呼吸困難感のVASスケールの変化にもっと注目したほうがいいとのコメントが印象的でした。私はDavid Currowに、モルヒネと同様、患者によっては呼吸困難感を和らげる効果がオキシコドンにもあるかもしれないことを伝えました。彼もそのような印象を抱くことはあるので、今後世界中で大規模なコホート研究が行われることを希望するとコメントしました。
 5日は、pain, dyspnea, cachaxiaのclassification, assessment,新しいガイドラインについての概説がありました。講師はDavid Currow (AU), Augusto Caraceni (IT), Peter Lawlor (CA), Andrew Somogyi (AU), Ken Fearon (UK) and Amy Abernethy (US)という斯界のエキスパートでした。各国の臨床家が疑義を呈したり、新たな提案がなされたりして、活発な議論がありました。Cancer Painのガイドラインのセッションで、イタリアのAugusto Caraceniが、数回のオピオイドカンファレンスを経て2011年から、ガイドラインを世界の地域性に合わせてより柔軟に使用できるようにしているとの話をされ、印象的でした。最終セッションは屋外のテラス席で行われ、ノルウェーのPal Klepstad,イギリスのKenneth Fearon,オーストラリアのDavid Currowがまとめとこれからのリサーチの方向性について語りました。参加者は白夜と水辺にあるJaegtvolden Fjordhotellのすばらしい環境の中で学び、再会を約して帰途につきました。今回このセミナーに参加して、緩和ケアのリサーチの熱気に触れることができとても有益でした。

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