Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
Journal Club
進行がんの外来患者における疼痛の程度、QOL、緩和ケアの質、満足度の評価
:大規模多施設調査
東北大学大学院医学系研究科保健学専攻 緩和ケア看護学分野
菅野 雄介

Yamagishi A, Morita T, Miyashita M, Igarashi A, Akiyama M, Akizuki N, Shirahige Y, Eguchi K.Pain intensity, quality of life, quality of palliative care, and satisfaction in outpatients with metastatic or recurrent cancer: a Japanese, nationwide, region-based, multicenter survey.J Pain Symptom Manage. 2012 Mar;43(3):503-14.

【目的】
 外来で抗がん治療または緩和ケアを受けている進行がん患者数は増加しており、外来緩和ケアは包括的ながん治療を提供するために重要である。本研究の目的は、進行がんの外来患者による疼痛の程度、QOL、緩和ケアの質、満足度を評価することである。
【方法】
 2008年4月〜6月に全国の病院23施設の外来がん患者に郵送法による自記式質問紙調査を行った。調査項目は、疼痛の評価尺度(BPI-J)、患者の評価による終末期のQOL尺度短縮版(GDI)、患者によるケアの質の評価尺度(CES)、全般満足度、患者背景である。
【結果】
 がんの転移または再発がある外来患者1493名中、859名(58%)の回答で分析した。患者背景は、男性は55%、年齢は67±11歳、5大がんは71%、PS(0-2)は92%であった。疼痛の程度は、約20%の患者は中程度から最も強い痛みと回答した。終末期のQOL評価は、「非常にそう思う」「そう思う」の60%未満の項目は、[からだや心のつらさが和らげられていること]、[希望や楽しみをもって過ごすこと]、[人に迷惑をかけてつらいと感じていること]、[人生を全うしたと感じられること]であった。緩和ケアの質評価は、約20%の患者は[医師の対応]、[看護師の対応]、[患者様への精神的な配慮]、[医師から患者様への説明]、[連携や継続性]に「改善が必要」と回答した。全般満足度は、13%の患者が不満足と回答した。単変量解析の結果は、PSが全ての項目で有意であった(P<0.001)。また、緩和ケアの質評価と全般満足度は、高い相関がみられた(ρ=0.69)。
【結論】
 転移または再発した外来がん患者の多くは、疼痛、身体症状、精神的苦痛、実存的苦痛を経験しており、複数の地域に渡って緩和ケアを改善していく必要がある。
【コメント】
 本研究は、進行がんの外来患者による疼痛の程度、QOL、緩和ケアの質、満足度を大規模調査によって評価した。特に進行がん外来患者の疼痛を大規模で評価したのは日本で初めてのことであり貴重な知見が得られた。今回の調査対象者は、PSが良い患者が9割を占めるため、今後PSが悪い外来患者も含めて評価が必要であると考える。

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