Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
口演21
緩和ケア教育
座長・報告  岡山大学大学院保健学研究科  齋藤 信也
 本セッションは、緩和ケア教育の中でも、学生に対するものよりも医療従事者や地域住民に対する教育に関する発表が多く見られた。
 まず、東北大学の宮下らは、医師を対象として大規模(27万人対象)調査を元に、緩和ケアの知識と関連する因子を見たところ、麻薬処方が少ない医師に知識が乏しい傾向があると報告した。佐久総合病院の山本らは、PEACE研修会において緩和ケアの知識を測定するための尺度を開発するとともに、それを用いて研修会後に、知識が向上することを確認した。慶応大学の新藤らは、スピリチュアル実践能力向上プログラムにより、大学病院看護師に介入研究を行ったところ、終末期患者への実践・態度の向上がみられたと報告した。東広島医療センターの梶山らは、デスカンファレンスにSTAS-Jを導入した結果について発表を行った。東京薬科大学の杉浦らは、薬学生に対し教育を行うに当たって、臨老式死生観尺度を使用し、その死生観を調査した結果を報告した。緩和ケアの教育効果を計るために事前にこうした周到な準備をしていることは注目に値した。鶴岡市立荘内病院の鈴木らは、市民に対する緩和ケア啓発活動に、寸劇を取り入れた成果を発表した。シナリオも自分たちで準備し、方言をとりいれることで、市民の理解を深めるのに効果的であったとのことである。厚生連海南病院の高橋らも同じように、地域住民に対する緩和ケアの普及活動の報告を行った。参加者に対して、アロマハンドマッサージ(10分程度)を行いながら、会話を交わすことが、緩和ケアの知識向上に結びついたとのことであったが、アロマの効果に加えて、参加者とボディタッチをしながら行う会話は非常に効果的であろうと思われた。参考になる試みである。最後に緩和医療学会の川崎らから、一般市民を対象とした「緩和ケア」の認識度調査の報告(第3報)がなされた。2008年に比較しても、一般市民の緩和ケアの認知度は低く、その普及の困難さが伺われる発表であった。
 緩和ケア教育における単なる取り組みの紹介にとどまらず、それを科学的に分析し、フィードバックしてゆこうという姿勢が評価されるセッションであった。

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