Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
口演18
在宅医療、看取り
座長・報告  安芸地区医師会居宅介護支援事業所  鉄穴口 麻里子
 演題数が9題と多く、字数の関係でそれぞれについて触れることができないので概略を報告する。がん末期であっても在宅療養を可能にするさまざまな工夫や今後の課題が、医療者アンケートや在宅移行例の分析結果から導かれていた。
 ご遺族の満足度については、医療者から評価したものであるが、ケアの期間や内容によらず病状理解良好例で高く、ご家族への十分な説明で病状を理解していただくことが重要とのことであった。
 療養・看取りの場として介護老人保健施設や緩和ケアアパートの利用は、併設されている診療所や訪問看護ステーション、訪問介護事業所などとの連携、時にはネットワークを生かしたインフォーマルな支援があってこそ安心できる療養生活を提供できており、多様化するニーズには、地域における小規模ならではの柔軟な対応が生きていた。
 在宅移行と、逆に再入院する場合の連携の課題としては、移行時期の見極めや療養場所の選択肢の拡大(有床診療所や介護施設)、人的資源の整備、在宅側のチーム力や技術力向上とそのための支援が挙げられた。石川県では在宅ケア支援センターへの相談内容も、症状への対応・不安・緩和ケアを受けられる場所の問い合わせ件数が多いようであり、あらゆる場所で多職種による患者・家族の安心を保障できるような対応が可能になればと思われた。
 看取りの場所については、東京大田区の在宅療養支援診療所の一年間の在宅死率は50%を超えており、老衰・がんなど比較的予後が予測しやすい場合、家族と医師が面談して方針を決定していれば在宅死が可能になるとのことであった。一方、急性期病院では、看取りの時期の医療もルーチン化されているような調査結果となり、遺族に対するケアも行う余裕のない現状が報告され、今後の検討の必要性が示された。
 日々の業務の中で、忙しさに流されることなく問題意識を持って患者・家族ケアを継続している医療者が各地に存在することが実感できて心強く、今後のケアの発展が期待される。

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