Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
口演17
スピリチュアルケア、家族・遺族ケア(悲嘆)ケア
座長・報告  淀川キリスト教病院 ホスピス  田村 恵子
 9題の発表が行われたがその大部分が家族・遺族ケアに関する内容であった。3題は、がんを患う親の子どもに対する支援を心理士が箱庭療法を用いて行った事例の紹介、親の看取りを支援する小冊子の活用、子育て中の女性がん患者が子どもに病気を説明していない理由の分析など、子どもへの支援のあり方が報告された。子どもへの支援については、多くの臨床において、どうすればよいかについて悩みつつ、試行錯誤を重ねているところであろう。今後、こうした研究の結果に基づいて、ケアの方法が検討され確立されていくことを期待したい。また、悲嘆ケアは家族との出会いのときから始まると言われているが、緩和ケア初診時の家族は既に患者と同等、もしくはそれ以上のつらさを感じていることが報告された。確かに、そのように感じる家族に出会うことは珍しくなく、気になりながらも積極的に関わることができていない。マンパワーの確保が必要であろうが、初診時から関わりを続けることができれば、遺族となった時に、「自分で乗り越えなければならない」と思い、支援を受けることへの抵抗感を抱くことは減少するように思われる。一方、家族が、終末期がん患者の介護体験を通して、自らをエンパワーメントしていく過程も報告された。愛する人を失うという人生にとって最も苦しい営みであるからこそ、その過程で獲得する力は何者にも変え難く、その力が家族の生きる力につながっていくのであろう。家族に対しても、患者ががんと診断された時からの緩和ケアが不可欠であり、ケアの提供システムを構築していくことが課題であると強く感じた。看護師の立場から、患者が「明るさを失わず過ごす」ためのケアの方法や、エンゼルケアを通して悲嘆ケアを充実させることについても報告された。
 いずれも臨床に即した具体的、実践的な発表であり、質疑も活発になされ、大変有意義な学びを共有できた。発表者と参加者に心より感謝したい。

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