Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
口演13
精神症状、栄養・輸液
座長・報告  国立がん研究センター東病院 緩和医療科・精神腫瘍科  木下 寛也
 演題1:死亡前1週間以内に発症したせん妄の重症度の要因に関して、薬剤師からの報告であった。有意に関連していた要因として、造血器腫瘍、男性、総ビリルビン値、ヘモグロビン、抗生剤、NSAIDsが抽出された。抗生剤、NSAIDsに関して感染が交絡因子ではないかということが議論された。
 演題2:新たに設立された緩和ケア病棟におけるせん妄の頻度とその対応についての報告であった。ケアの工夫や環境調整でも軽減できるせん妄があること、入院時にせん妄についての説明を行っておくことの重要性が示された。
 演題3:在宅医療の現場における「お迎え」体験について遺族調査の結果が報告された。「終末期患者が自らが死に臨んで、すでに亡くなっている人物や、通常みることのできない物事を見る類の経験」と定義し、「その体験は家族にとっては穏やかなものであった」との回答が8割弱であった。
 演題4:本学会で作成された「終末期がん患者に対する輸液治療ガイドライン」の有用性を示す観察研究の結果報告であった。ガイドラインに基づいた輸液は多少口渇、気道分泌、精神運動興奮に相関を示したが、全般的なQOL、つらさ、その他の症状、体液貯留には相関を示さなかった。
 演題5:がん患者の食欲不振時の食事の対応について栄養士からの報告であった。食欲不振時に食事支援献立パターン食、さらに必要に応じて個別対を行うことにより、7割以上の患者で喫食率の改善を認めた。
 演題6:栄養状態の評価には様々な指標が用いられるが、本報告は胃がん、大腸がん術後患者においてCTから最大大腰筋面積を測定し、その変化比は血清アルブミン値、Prognostic nutritional indexと有意な相関を認めた。
 演題7:緩和ケア病棟における輸血についての実態に関して、後方視的に検討を行い、輸血適応の判断基準の可能性について報告された。
 演題8:演題5と同じく栄養士からの報告であった。終末期がん患者に対する、個別的な食事対応の実態が報告された。
 演題9:大腸がん患者における埋め込み式中心静脈カテ?テルによる合併症に関しての報告であった。約30%にCVポート関連のトラブルを生じた。逆血を認めないが、静注可能なケースに関してその原因についての議論がされた。

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