Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
口演7
事例報告
座長・報告
医療法人若葉会近藤内科病院 緩和ケア科(現 田岡病院 緩和ケア科)  三木 仁司
 このセクションではいずれも臨床的に興味深い8題の事例報告が行われた。
 1題目はトラマドールの持続静脈注射にて疼痛コントロールを行った2症例の報告であった。今後、経口から静脈注射への変更時における投与換算値の検討が期待される。2題目はミルタザピンが鎮痛補助薬的に効果を示した1例の報告で、ミルタザピンの緩和ケア領域における有用性が示された。3題目は低血糖性意識障害を示した3症例の報告であった。終末期の意識障害は病状進行に伴うものと決めつけ、低血糖による意識障害を案外見過ごしているのではないかと自戒の念を感じさせられた報告であった。また終末期における低血糖患者のケアの問題点も浮き彫りとなった。4題目はリファンピシンとオキシコドンによる薬物相互作用に関する報告であった。今後、各種薬剤による薬物相互作用に注意を払いながら診療を行わなければならないと感じさせられた。5題目はむずむず脚症候群(RLS)の症例報告であった。RLSを発症している終末期がん患者は実は多いのではないかと感じ、鑑別診断・治療方法などの示唆を受けた。6題目はめまいにミダゾラム少量投与が有効であった症例の報告であった。ミダゾラムのめまいに対する作用機序は十分解明はされなかったが、難治性めまいに対してミダゾラム少量投与を試してみる価値はあると思われた。7題目は三叉神経痛にカルバマゼピン・五苓散が有効であった症例の報告であった。今後、緩和ケア領域においても漢方が脚光を浴びてくる可能性が予感させられた。8題目は耳鼻咽喉科医があまり緩和ケアに関与していない実態が報告された。耳鼻咽喉科医のみならず多くの各科医師が緩和ケアに興味を持ち、緩和ケアに積極的に関与することが望まれた。
 以上、頻度的には稀ではあるが上記のような症例の存在を知っておくことの重要性や、緩和ケアにおけるいろいろな問題点などが示された有意義なセクションであったと思われた。

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