Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
口演4
ホスピス・緩和ケア病棟
座長・報告  松山ベテル病院  中橋 恒
 本セッションはホスピス・緩和ケア病棟のあり方について10演題の発表があった。急性期型緩和ケア病棟の早期退院を実現させるための要因の発表(演題1)や、多施設間比較で急性期型と慢性期型の治療や処置の違いについての発表(演題2)がなされ、興味深い内容であった。また、同じく多施設間比較で患者・家族のケアに対する満足度と望ましい死の達成に対する満足度を指標とした発表(演題3)では、満足度に差がみられる因子を抽出し、ホスピス緩和ケア病棟の終末期の性格付けの指標として興味深かった。化学療法も行う緩和ケア病棟の役割をスタッフアンケートで見た発表(演題4)は、化学療法を行う場のあり方を問うものであった。情報提供を受けた患者の意思決定のプロセスに関する発表(演題5)は、医療連携の観点からすると療養の場の意思決定に重要なプロセスと考えられ、今後院内に組織体制構築にまで研究を進めていただきたい内容であった。在宅緩和ケア推進の中での緩和ケア病棟の役割の発表(演題6)は、今後の地域連携の中での緩和ケア病棟の役割を考えるモデル的な発表で、非常に示唆に富んだ内容であった。新設緩和ケア病棟における看護師の意識調査の発表(演題7)は、院内における緩和ケアの啓蒙・普及の基本を与える貴重な発表で、得られたエッセンスは病棟だけにとどめぬ取り組みを続けていただきたい。緩和ケア病棟開設6年を振り返っての病棟の役割変化の発表(演題8)は、本年度の保険の改正で国が求める役割と、それぞれの地域特性を持った病棟の役割をどのよう結びつけるかの問いかけのように感じられ興味深かった。短期間看取り症例への看護師の苦悩の発表(演題10)は、演題5と同じく意思決定のプロセスを施設間で共有することが重要と思われ、今後の追加研究に期待したい。緩和ケア病棟での職員の結核集団感染の発表(演題9)は、緩和ケア病棟が持つリスクの一面を示した興味深い発表であった。
 ホスピス・緩和ケア病棟はその役割を終末期の看取りに重点を置いたところから発展してきたが、平成24年度の診療報酬の改定では入院期間の短縮を促進させる方向で改定がなされ、急性期型緩和ケア病棟としての症状コントロールに重きを置いた役割や地域連携の中での病棟の役割など機能の多様性が求められる転換の時期にあると考えられ、発表された演題はこれからのホスピス・緩和ケア病棟のあり方へ示唆を与える興味深い内容であった。

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