Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
口演2
化学療法、放射線治療、手術療法
座長・報告  医療法人社団曙会 シムラ病院 緩和ケア病棟  岩田 尚士
 本セッションでは薬物療法2題、放射線治療5題、手術療法2題の発表が行われた。初日朝一番ということもあり会場の入りは今一つであったが、活発な討議が行われた。
 演題1:酢酸ゴセレリンの皮下投与時の疼痛緩和のため、1分間皮膚を冷却した後穿刺する方法を検討した。40例で冷却なし、ありの両者を比較し穿刺時痛NRS4以下は12.5%から87.5%と改善し、冷却による苦痛は10%であったとした。コストもかからず有用な方法と思われた。
 演題2:BSCの適応とされた患者に対し、副作用0を目指した低用量の化学療法を行い、単に抗腫瘍効果を期待するだけではなく、精神的にも好影響を与えQOLの改善に寄与する可能性があると発表した。
 演題3:ストロンチウム87の臨床経験を通し予後予測と早期投与の必要性を訴えた。6患者7回の投与経験から疼痛軽減は85.7%で認めたものの、投与時点での平均PPIは2.5、生存期間中央値は63日と短く、PSの維持されている段階で可及的早期の投与が望ましいとした。
 演題4:総線量50Gyを超える全脳照射例36例を検討し、白質脳症は6か月から増加し18か月では100%であったとし、1年以上の長期生存が期待できる症例には推奨されない姑息照射法と報告した。
 演題5:悪性気道狭窄に対し姑息照射を行った15例を検討した。治療完遂は73%、CT上の改善が53%、症状の改善は60%に得られたとし、ある程度有効な緩和的放射線治療であると報告した。
 演題6:腕神経叢発生の悪性末梢神経鞘腫瘍2例に対し術後重粒子線治療を行ったが、根治には至らず、非常に強い上肢の神経障害性疼痛が出現し症状緩和に難渋したと報告し、適応には慎重であるべきとした。
 演題7:化学療法抵抗性となり巨大腫瘤を形成した悪性リンパ腫に対し、放射線治療を行い症状緩和、QOL向上に有用であったと報告した。
 演題8:転移性骨腫瘍の手術例43例(長幹骨19例、脊椎24例)を検討し、34例でADLの改善を認め概ね良好な成績であったが、根治術の2例でADLの低下も認め、他の治療法に比べ侵襲も大きく適応には慎重な検討が必要とした。
 演題9:十二指腸の通過障害に対し胃空腸吻合を行った32例を胃癌と乳頭部癌・膵癌・胆道癌の2群に分け、胃癌では成績良好であったが、乳頭部癌・膵癌・胆道癌では有用性が低く内、外瘻が可能であれば手術を回避すべきとした。
 外科医である私は放射線治療に関しては門外漢であり、進行にやや不安を感じていたが、フロアの清水わか子先生から的確な質問や指摘をいただき感謝したい。

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