Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
モーニングセミナー11
緩和医療とQOL/PRO評価―その意義と課題―
座長・報告・演者   QOL/PRO研究会世話人/京都大学大学院医学研究科  宮崎 貴久子
座長・演者  QOL/PRO研究会代表世話人/立命館 生命科学部  下妻 晃二郎
 モーニングセミナー11の「緩和医療とQOL/PRO評価 ―その意義と課題―」は、QOL/PRO(Quality of Life and Patient-Reported Outcomes)研究会主催で行われた。
 はじめに、下妻晃二郎氏(立命館大学生命科学部)から、「QOL、PROとは ―緩和医療での応用―」に関して、QOL/PRO研究の概観が説明された。QOL/PRO研究会について「Quality of LifeをはじめとするPatient-Reported Outcomesに関する研究に携わる幅広い分野の研究者が会して情報を交換し、質の高い研究を実現し、社会に還元することを目指して設立された」と紹介があった。QOLとPROについて、その概念と、近年はPRO(患者報告アウトカム)ということばがEMA(2005)やFDA(2009)でも使われるようになった経緯が報告された。QOL/PRO評価の意義と課題としては、FDAのPRO指針から、1)使用尺度の概念構造の明確化、2)奏効例の定義として、意味のあるスコアの変化量を事前に明らかにすること、3)複数エンドポイントの多重性の問題(都合のよいところだけをピックアップする問題)が提示された。
 次に、筆者から、「緩和医療におけるQOL研究」に関して、臨床でQOL評価研究をする際の欠測値の状況、代理記入、選択バイヤス、評価票選択などの問題が、具体例を用いて説明された。緩和医療患者用にGroenvoldらによって開発された、15問からなるEORTC QLQ-C15-PAL日本語版の使用にあたって、アカデミックの場合は登録料が発生しないことから、登録手順および評価票とスコアリングマニュアルの入手法が示された。最後に、国際的なQOL/PRO研究のトピックスとして、QOLスコアの臨床における意味のある最小の差(Minimally Important Difference: MID)と、緩和医療では促進させるような働きかけが必要と考えられるレスポンスシフト(Response Shift)の紹介があった。
 緩和医療が患者や家族のQOLを向上させる医療であるのなら、緩和医療のアウトカムは、QOLを評価することで得られる。今後、緩和医療のエビデンス構築に寄与する質の高いQOL/PRO評価研究が望まれる。
 QOL/PRO研究会事務局:qolpro●gmail.com(●マークを@に置き換えています)

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