Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
イブニングセミナー10
適切な口腔ケアには的確なアセスメントを!
オーラルマネジメントCREATEの心臓部分
座長・報告  兵庫医科大学疼痛制御科学 ペインクリニック部  村川 和重
 神戸国際会議場で6月22日に開催された第17回日本緩和医療学会学術大会のイブニングセミナーには、ご講演に対する関心の高さを物語る様に、多数の聴衆が集まっていた。演者の岸本裕充先生は、兵庫医科大学歯科口腔外科准教授で、口腔ケアの専門家である。そうした視点から、的確なアセスメントが口腔ケアには不可欠と強調され、その実際を示すために、KOACHと名付けられたパンフレットを会場でも配布された。アセスメントの実際は、「開口」、「口臭」、「流涎」、「口腔乾燥度・唾液」、「歯・義歯」、「粘膜」の6項目に従っており、アセスメントの手順を詳細に説明されて、明日からのケアの実施に役立つように配慮されていた。そして、オーラルマネージメントの主要な構成要素としても、「Cleaning」、「Rehabilitation」、「Education」、「Assessment」、「Treatment」、「Eat&Enjoy」の6項目が提示されており、それぞれの頭文字を取り上げて、CREATEとしていることを詳しく説明された。そして、緩和医療における口腔の問題にも触れられ、がん治療時の口内炎対策の重要性を強調されており、抗がん剤による口腔トラブルについても詳しく説明されていた。ご講演の締めくくりとして、神戸の学術大会への参加のおみやげにと言う事で、「乾いたら負け」、「保湿=加湿+蒸発予防」、「歯から出血はしない」、「舌苔のケアは軽く擦る程度でOK」、「オーラルマネジメントCREATE」、「KOACH」の6項目を強調された。
 私自身は、痛み治療を専門としており、そうした観点からがん疼痛治療を見ると、まだまだその質を高めることが出来るのではないかと考えている。同様なことを口腔ケアの専門家として、岸本先生もきっと感じているに違いないという印象が強く残った。人が生きて行く上での摂食行動の持つ意味の大きさを考えると、口腔ケアが果たす役割の大きさを、改めて痛感させられたセミナーであった。緩和医療には、このように真の意味での多職種の力を集めることが必要であり、そのことが全体的なレベルアップに直結すると実感させられたセミナーであった。

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