Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
ワークショップ5
ガイドラインを使いこなす4〜消化器症状に関するガイドライン〜
座長・報告  しんじょう医院  新城 拓也
 昨年出版された、がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン2011年版の製作に、計画段階から関与した委員より内容の概説を行った。
 前半では、化学療法、放射線療法が原因でない、嘔気・嘔吐のあるがん患者に対する薬物療法について、製作過程と推奨を、聖隷三方原病院、今井堅吾先生に解説していただいた。根拠となるエビデンスは乏しいが、想定される病態に応じて制吐薬を投与する方法について、会場の参加者の挙手を交えながら説明していただいた。過去の研究から、原因を化学的、消化器系、中枢神経に分類しそれぞれ、ハロペリドール、メトクロプラミドまたはドンペリドン、ヒスタミン受容体拮抗薬または抗コリン薬を投与することを推奨した。実際の臨床では、原因の診断が困難であったり、複数であったりすることもあり、第一選択の制吐薬が無効の場合には、薬物の変更、併用することを推奨した。
 後半では、嘔気・嘔吐の原因が消化管閉塞である患者に対する薬物療法について、筑波メディカルセンター病院、久永貴之先生に解説していただいた。オクトレオチド、ブチルスコポラミン、コルチコステロイド、メトクロプラミドや抗精神病薬など制吐薬を組み合わせて、嘔気・嘔吐を緩和すること、さらに合併する疼痛や、輸液管理の基本についても説明していただいた。実際の臨床では、どの薬物から投与するかについては、見解が大きく異なる可能性もあることから、実際の症例を示しながら、ステロイドとオクトレオチドの使用法、またフェンタニルとモルヒネの使い分けについても説明していただいた。
 ガイドラインの推奨と解説だけでは、実際の臨床現場に活用できない可能性もあることから、エビデンスと現場の架橋となるような、有意義なワークショップとなった。

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