Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
ワークショップ1
ガイドラインを使いこなす1〜呼吸器症状に関するガイドライン
座長・報告  がん・感染症センター都立駒込病院 緩和ケア科  田中 桂子
 日本緩和医療学会で作成された5つのガイドラインについて、それを「使いこなす」ワークショップが企画され、そのトップバッターとして大会初日の午後、「呼吸器症状の緩和に関するガイドライン」のセッションが行われた。第1会場には非常に多くの参加者が集り、関心の高さがうかがわれた。
 最初に、座長の田中より、ガイドライン全体の構造とエビデンスレベル・推奨レベルについて説明された。
 前半の「酸素吸入」については、小牧市民病院の渡邊紘章先生が担当された。1.低酸素血症を伴う場合、2.伴わない場合、3.終末期意識レベルが低下した場合のそれぞれ具体的な症例が提示され、ガイドラインで書かれている文献がわかりやすく読み下され解説され、エビデンスと推奨レベルを理解した上で、それぞれどう対応するかが説明された。
 後半の「薬物療法」については、手稲渓仁会病院山口崇先生が担当された。1.コルチコステロイド、2.抗不安薬(ベンゾジアゼピン)、3.モルヒネとその他のオピオイドのそれぞれについて、前半同様に具体的な症例を通して、海外の文献が整理され、日々の診療でどのように応用するかがわかりやすく説明された。さらに、今回のガイドラインで十分なエビデンスが示されなかったオキシコドンやステロイドの有効性に関する研究が進行中であることが報告された。
 ガイドラインに示されたエビデンスを正しく理解して「生きた知識」として身につけた上で、個々の症例にあわせて「臨床の知恵」を工夫して応用していくことが重要であるということが、座長と演者からのメッセージである。ガイドラインを手に取っていただくきっかけになれば幸いである。

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