Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
パネルディスカッション3
各職種による最新のせん妄アプローチ
座長・報告  名古屋市立大学病院 緩和ケア部  奥山 徹
座長   東京医科歯科大学大学院 医師学総合研究科
全人的医療開発学系 心療・緩和医療学分野
梅澤 志乃
 本セッションでは、各職種の立場からそれぞれの領域での最近の知見を踏まえてどのようなケアを行うべきかをご提案いただくと共に、近年注目されている多職種チームによるせん妄への対応の実際について共有することを目的として企画した。東京医科歯科大学大学院 心療・緩和医療学分野の梅澤志乃先生とともに私が座長を務めさせていただいたので、当日の内容についてご報告させていただく。
 まず東京医科歯科大学大学院 心療・緩和医療学分野の松島英介先生が、「精神科医の立場から?薬物療法を中心に?」と題して、特に低活動型せん妄の最近の知見についてサマライズして下さるとともに、薬理学的知見を踏まえた抗精神病薬の選択方法などについて解説をして下さった。
 ついで国立がん研究センター東病院 看護部の寺田千幸先生は、「看護師の立場から?ケアを中心に?」と題して、せん妄の早期発見・予防の実現に当っては、せん妄の診断が困難であることや原因除去への認識が不十分であることといった阻害要因があることを指摘されるとともに、その阻害要因の除去の実際について平易に解説して下さった。またご施設で進行中の教育プログラムづくりといった取り組みについてもご紹介下さった。
 また国立がん研究センター東病院 薬剤部の市田泰彦先生は「せん妄治療における薬剤師の役割」としてお話下さり、薬剤師の役割として「原因・誘発因子の除去」「せん妄症状の緩和」という2つの側面についてご説明下さるとともに、薬剤師が関わることの困難とその対応についてもお話いただいた。
 さらに名古屋市立大学病院 緩和ケア部の伊藤嘉規先生は「臨床心理士の立場から?家族ケアを中心に?」と題し、仮想症例を提示しながら「家族の体験を理解すること」「せん妄に関する情報提供を行うこと」「家族とのコミュニケーションを図ること」の3点について、その実際についてご説明下さった。
 最後に住友病院メンタルヘルス科の池尻義隆先生が、同院におけるせん妄ケアチームの活動についてご紹介下さった。せん妄に関するコンサルテーションや回診のみならず、ハイリスク患者の同定、早期発見や標準的治療手順の教示など、発症予防やスタッフ教育を意識した総合的な取り組みの重要性を示唆して下さった。
 各演者の発表後、総合討論を行ったが、会場からも活発なご質問をいただき、せん妄に関する情報ニードの高さを実感いたしました。
 末筆ではあるが、ご発表下さった演者の方々、ご聴講下さった参加者の方々に厚く御礼申し上げたい。

Close