Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
インターナショナルシンポジウム2
緩和ケアにおける高度看護実践看護師の果たす役割
座長・報告  高知県立大学 看護学部  藤田 佐和
座長  三重大学/甲南女子大学大学院  大西 和子
 緩和ケアにおける高度看護実践看護師の果たす役割について、3人の発表があった。第1演者であるアイルランド出身でヨーロッパにて広く活躍されているDr. David Larkin 氏から緩和ケア看護における変遷と今後の課題について、第2演者である総合病院の看護師の明石靖子氏から消化器内科病棟の緩和ケア病床からの事例を通して一般看護師とがん看護専門看護師の役割について、第3演者である東京都内の大きな総合病院のがん看護専門看護師の長谷川久己氏から専門看護師としての役割獲得・拡大の10年間の歩みについて、各々の立場から発表があった。
 アイルランドでは、初期のホスピス看護から現在の緩和ケア看護に至る経過の中で、専門看護師、ナースプラクティショナー、そしてナースコンサルタントの3つの高度看護実践の職位が存在するようになった。例えば、Larkin氏は看護系大学の教授をしながら臨床でコンサルタントとして活躍されている。コンサルタントになるには博士の学位を持つことが必要であり、そしてこれまでの臨床経験を活かしながらケアリングを原点に看護師の立場でコンサルタントとして薬の処方も行っているということであった。
 日本では、大学院修士課程を修了後、看護協会の認定試験に合格し、がん看護専門看護師として10年以上の経験を有する者が数十名にも達している。その人たちは現在の専門看護師の役割遂行や認知度を勝ち取った先駆者であり、そのうちの数人は博士課程に在籍あるいは博士の学位を取得している人がいる。現在、特定看護師やナースプラクティショナーの資格認定問題が浮上している中で、Larkin氏の発表は日本の高度看護実践看護師の資格認定に一つの示唆を与えてくれている。
 高齢がん患者の増加や医療費高騰など多くの問題を抱える日本において、高度実践看護師としてナースプラクティショナーあるいはコンサルタントのような役割と共に大学院教育と資格認定について考えていくことは、日本の医療社会、特に医療経済に貢献できるものと考える。

Close