Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.56
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2012  56
巻頭言
理事就任の挨拶
理事長  細川 豊史
京都府立医科大学付属病院 疼痛緩和医療部
京都府立医科大学 疼痛緩和医療学講座
 2012年6月の役員改選に伴い、理事長を拝命いたしました京都府立医科大学付属病院 疼痛緩和医療部の細川でございます。会員の皆さんに、この紙面をお借りして御挨拶させていただきます。私は、京都府立医科大学麻酔科の出身で、ペインクリニック、緩和医療を専門とし、1983年から、“がん疼痛”治療を中心に緩和ケアに携わるようになりました。幸い当施設は緩和ケアに興味と関心を持ち、その活動に多くの時間を割いてくださる看護師、薬剤師、精神科リエゾン医や放射線がん治療医などのメディカルスタッフに恵まれ、緩和ケアチームを中心に疼痛緩和医療部を組織し、質の高い緩和ケアを提供し続けて参りました。また日本緩和医療学会は1996年の設立以来、多くの先人が“緩和医療”、“緩和ケア”の概念の普及と医療者への教育・育成に心血を注がれ、本邦の多くのがん患者さんとその家族が緩和ケアを享受する恩恵に浴してまいりました。しかし逆に、設備・人材・経費・病院経営者の理解等に恵まれたがん診療施設とそうでないとくに地方の多忙を極める一般病院などとの間に大きな格差が生み出されているのも事実であり、早期からの緩和ケア提供とその均てん化実現には、まだまだ至っておりません。この“早期からの緩和ケア提供とその均てん化”を実現するための方策も含めまして、以下の5点の実現に邁進しようと考えております。
 1.コ・メディカルという言葉は適切な和製英語ではありません。具体的な医師、薬剤師、看護師、作業療法士、MSWなどの用語を用い、一括的に述べる場合は“メディカルスタッフ”という言葉を今後使用する。
 2.基本となる“緩和ケア”という言葉がメディカルスタッフ間ですら、まだ統一された意味、認識を持つ用語となっていない。WHOの定義に準拠しつつ、共通の分かりやすい用語として本邦に普及させる。
 3.次世代の緩和ケアを担う若い医師の教育の徹底のため、年間約8,000人生まれる新研修医の緩和ケア研修会への参加を研修医過程終了の必須とする。
 4.看護師、薬剤師への緩和ケア普及と教育のため、医師の緩和ケア研修会と同様に公的な支援を背景に研修会を行う。
 5.厚生労働省の献策である“緩和ケアセンター”の設置を、がん診療連携拠点病院などを中心にすべてのがん診療医療施設に整備し、がん患者さんと家族がいつでも緩和ケアについて相談できる体制を整備する。
 上記を日本緩和医療学会が中心となり、厚生労働省を始めとした関係各省や関連学会と連携し、組織的に真の“緩和ケア”普及をさらに押し進めていけるようにと考えています。学会員の皆様のさらなるご支援、ご協力を宜しくお願いするとともに就任の挨拶とさせていただきます。

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