Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.55
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2012  55
Journal Club

日本人が希望する終末期の療養場所と死亡場所に関する国民意識調査

日本赤十字看護大学  藤田 淳子・福井 小紀子

Fukui S,Yoshiuchi K,Fujita J,Sawai M,Watanabe M. Japanese people’s preference for place of end-oflife care and death:A population-based nationwide survey.J pain Symptom Manage. 2011;42(6):882-92.

【目的】
 本研究の目的は、日本人が希望する終末期の療養場所と死亡場所を明らかにすること、さらに、希望する療養場所に関連する要因を経験、認識、知識の面から明らかにすることである。
【方法】
 調査対象は層化ニ段階無作為抽出(年齢、性別、居住地区の規模別に層化)を行い、全国の40歳以上80歳未満の男女2000名とした。調査方法は質問紙郵送調査とし、2010年3月に実施した。調査項目は、余命1〜2ヶ月で希望する療養場所(自宅、病院、緩和ケア病棟、公的施設、民間施設、および不明の6択)と死亡場所(苦痛症状はないが日常生活には介護を要する状態と仮定して)、関連要因として1)医療経験、2)終末期に関する認識、3)制度の知識とした。分析は、多項ロジスティック回帰分析を用いた。
【結果】
 1042名(回収率55%、不達90 名を除く)より回答があった。希望する療養場所は、自宅(44%)、病院(15%)、緩和ケア病棟(19%)、公的施設(10%)、民間施設(2%)、不明(11%)であった。民間施設希望者と不明と回答した人を除く912名について、自宅を参照水準として多項ロジスティック回帰分析を行った結果、自宅に比べて、病院、緩和ケア病棟、および公的施設をより希望する要因として、1) 医療経験については、1.通院していること、2.在宅看取り経験がないこと、2) 終末期に関する認識については、3.日々自分の最期の過ごし方について考える機会を持っていないこと、4.自宅療養の自己負担額が入院費用と比べて3割程度が妥当と考えていること、3) 制度の知識として、5.訪問看護および6.在宅療養支援診療所を知らないことが挙げられた。
【考察】
 本研究の結果、我が国の在宅看取り推進のためには、医療機関受療中からの在宅医療の周知、在宅看取り経験の蓄積、日ごろからの終末期の療養場所に関する教育・考察の機会の確保、在宅終末期医療に関する費用を含む制度や医療福祉資源の周知をしていくことが効果的であることが示された。今後は、これらの知見を基に、国民の希望を叶えられる在宅医療を含む終末期医療システムを構築していくことが必要である。

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