Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.55
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2012  55
Journal Club

持続皮下注射刺入部の発赤、硬結の出現頻度とその予防に関する検討

福岡県済生会飯塚嘉穂病院 緩和ケア  荒木 貢士

Araki K,Haraguchi M.Both switching from a winged needle to a small plastic intravenous catheter and adding dexamethasone to continuous subcutaneous infusion (CSCI) successfully treated inflammatory skin changes caused by CSCI. Palliative Care Research 2012; 7(1): 112-20.

【目的】
 がんの症状をコントロールするために種々の薬剤を持続皮下注射で投与する方法が、多くの緩和ケア病棟で行われている。今回、われわれは持続皮下注射の際に出現する刺入部の発赤、硬結の出現頻度を測定し、デキサメサゾンの混注に発赤予防効果が認められるのかについて前向き観察研究を行った。
【方法】
 緩和ケア病棟で持続皮下注射を行った66例を対象に検討を行った。刺入針は、27G翼状針で行い、10mm以上の発赤または硬結が認められた場合、24Gプラスチックカニューレ型穿刺針に変更した。変更後も発赤または硬結が認められた症例には、デキサメサゾン0.5mg/日、1mg/日、2mg/日を段階的に増量し持続皮下注射内に混注した。
【結果】
 発赤・硬結は、4%塩酸モルヒネ注射剤(23.5%)、フェノバルビタール(16.6%)、塩酸ケタミン(15.2%)に高い出現頻度を認めた。対象となった66例のうち、27G翼状針から24Gカニューレ針に変更したのは20例、それでも発赤、硬結を認めデキサメサゾンを混注したのは5例のみであった。デキサメサゾン0.5mg/日の少量の混注でも2例は発赤、硬結の改善を認めた。2例はデキサメサゾン2mg/日に増量しても発赤、硬結の改善を認めず、2例とも4%塩酸モルヒネ注射剤使用例であった。
【結論】
 4%塩酸モルヒネ注射剤、塩酸ケタミン使用例には発赤、硬結出現頻度は高い印象で、フェノバルビタールも含めたこれらの薬剤使用時は特に注意が必要と考えられた。刺入針を翼状針からカニューレ針に変更すると、発赤、硬結の出現頻度が減少した。この原因は針の材質、針の長さに関与している可能性は考えられた。カニューレ針の外筒の材質はポリウレタンであり、アレルギーの発現を抑えている可能性があり、針の長さに関しては、カニューレ針の方がより深く皮下組織内に薬剤を投与できると考えられた。デキサメサゾンの予防効果に関しては、発赤、硬結を引き起こすアレルギー反応をデキサメサゾンが抑制すると考えられる。今回の検討では、デキサメサゾン0.5mg/日という少量でも十分効果が認められ、混注した量には関係性はあまり認められない可能性が示唆された。

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