Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.54
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2012  54
Journal Club

看護師の離職意向に関連する要因の検討
−緩和ケア病棟における調査結果をもとに−

広島大学保健学研究科心身機能生活制御科学講座  田邊 智美

Tanabe T, Okamura H. An investigation of the factors related to the intention of nurses to leave their profession: based on a survey of nurses working in palliative care units. Palliative Care Research 2011; 6(1), 126-32.

【目的】
 看護師の離職意向の要因を探索するために、組織 風土、健康状態、および今までの働き方を見直す契機として取り組みの推進が提唱されているワークライフバランスに着目し、離職意向との関連を検討した。
【方法】
 A県7施設の緩和ケア病棟の看護職者105名を対象に、無記名の自記式質問紙による横断調査を実施した。離職意向に関連する要因を明らかにするために、離職意向を従属変数、基本属性、就業特性、労働時間特性、健康状態の各尺度として一般健康調査短縮版(GHQ-12)、簡約版蓄積疲労徴候スケール (CFSI-18)、悲嘆尺度、ワークライフバランスの尺度としてWLB-JUKU INDEX( 以下WJI) 個人調査票、組織風土の下位尺度の伝統性因子を独立変数とする多変量解析を行った。
【結果】
 回答のあった83名(79.0%) を分析対象とした。離職意向尺度を従属変数とする重回帰分析の結果、看護師の離職意向には組織風土の伝統性因子(p=0.023)、WJI個人調査票の仕事と生活の評価(p<0.001)、CFSI-18(p=0.008) が有意に関連していた。
【考察・結論】
 働く人のモチベーションや行動に影響を与える職場の特性である職場風土ついては、組織風土尺度の伝統性因子が得点の低いほど指導中心型で権威的な組織の特徴を示すことから、互いの意見が尊重されない自律性に乏しい職場であることが離職意向を高めると考えられる。ワークライフバランスについて は、WJI個人調査票では個人のワークライフバランスの状況は仕事の充実度と生活の充実度に規定されるとの考えから、充実度を仕事と生活の時間ならびに仕事と生活の評価により捉えており、仕事と仕事以外の生活が自ら希望するバランスでなされているか否かが離職意向に関連していた。健康状態については身体的疲労を蓄積しているという感覚の高まり が関連していた。
 今回の結果より、自律性に乏しい組織風土を改革し、仕事と仕事以外の生活のバランスに対する個人の評価が改善され、身体的な疲労感を蓄積させないことが看護師の離職意向の軽減に有効であると推察される。

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