Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.54
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2012  54
Journal Club

進行がん患者における転倒の前向き調査

東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野  花田 芙蓉子

Stone C, Lawlor PG, Nolan B, Kenny RA.A Prospective Study of the Incidence of Falls in Patients With Advanced Cancer. J Pain Symptom Manage 2011 Oct;42(4): 535-540.

【目的】
 これまで進行がん患者の転倒に関する調査は少なく、われわれの予備調査では進行がん患者は転倒のリスクが高い可能性があるとの結果を示した。 本研究の目的は、緩和ケアを受けている進行がん患者における転倒の発生率を調査し、さらに65歳以上の患者は、 65歳未満の患者に比べて転倒リスクが高いかどうかを検証することである。
【方法】
 2008年11月から2010年6月までの間に、アイルランドの1施設で緩和ケアサービスを受けた歩行可能な進行がん患者を対象とした前向き調査を実施。 人口統計学的データは患者インタビューやカルテより収集し、6ヶ月間のフォローアップ期間中は1週間に1回の電話で転倒の有無を確認した。
【結果】
 フォローアップ期間を終了した進行がん患者は119名で、平均66.9歳、男性53.8%、入院患者44.5%、外来患者55.5%であった。 6ヶ月間のフォローアップ中に転倒した患者は119名中62名(52.1%)であり、65歳未満のみに限ると46名中24名(52%)が転倒し、 65歳以上に限ると73名中38名(52.2%)が転倒した。また、フォローアップ開始日から転倒するまでの日数の中央値は、65歳以上では85日で、 65歳未満では80日であった(P=0.85)。転倒により2名が骨折し、1名が脱臼、28名が軽傷であった。
【結論】
 年齢にかかわらず、進行がん患者の二人に一人が6ヶ月間のうちに少なくとも1回は転倒していた。転倒による後遺症の有無やリスクファクターを調査する必要がある。
【コメント】
 今回の研究結果では、対象者の病期や治療状況、転倒時の状況等の情報がなかったため、今後はそれらの情報を含め、転倒のリスクファクターのさらなる調査が行われることが望まれる。

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