Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.54
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2012  54
Journal Club

治癒を目的としたケアから緩和ケアへの移行に関する系統的レビュー

東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野  宮下 光令

Gardiner C, Ingleton C, Gott M, Ryan T.Exploring the transition from curative care to palliative care: a systematic review.BMJ Palliative and Supportive Care. 2011; 1: 56-63.

【目的】
 英国の終末期ケア治療・ケアに関する政策では、患者の予後が1年以内であることを認識し、医療者が治癒を目的としたケアから緩和ケアへの移行の重要な役割を担うことが求められている。本論文では英国における治癒を目的としたケアから緩和ケアへの移行に関するエビデンスの系統的レビューを行う。
【方法】
 4つのデータベースを利用し、1975年〜2010年3月までに出版された研究をレビューした。適格基準は英国における研究で、18歳以上の成人の治療を目的としたケアから緩和ケアへの移行に関するものである。選択された論文は独立した評価者によりレビューされ、データの抽出と研究の質の評価が行われた。データは主題分析(thematic approach)によって分析された。
【結果】
 1464本の論文が同定され、最終的に12本の論文が適格基準に該当した。そのうち8つの研究が質的研究であった。主題分析によって以下の4つのテーマが抽出された。(1)移行に伴う患者・介護者の経験、(2)移行の時期の認識と同定、(3)移行の最適化と改善、(4)移行の定義と概念化。
【結論】
 緩和ケアへの移行に関してはほとんど研究がないことが明らかになった。エビデンスからケアの継続性、多職種の協働などが患者の移行を改善するにあたり重要なキーとなることが示唆された。緩和ケア を提供する一般の医療者の役割が明確化された。早期から緩和ケアを導入し、段階的に移行をすすめることが最適なケアの重要な要素となる。
【コメント】
 本論文は、治癒を目的としたケアから緩和ケアへの移行という重要なテーマを扱っている貴重なレビューである。医療制度などにも影響を受けるため、本論文では英国の論文に絞っていることが特徴である。移行の問題に関しては日本でもいくつかの調査が行われており(例えばMorita T, 2004, Ann Oncol; Miyashita M,2008,Support Care Cancer; Otani H, 2011, JJCO)、より広範囲な研究を対象としたレビューが今後望まれる。
 なお、本論文が掲載されているBMJ Supportive and Palliative Care 誌は2011年6月にBMJグル ープの1つとして創刊された新しい雑誌である。BMJと連携しているだけでなく、原著論文以外にも様々な緩和ケアに関する情報を掲載している。まだMEDLINE等のデータベースに収録されておらず、当面は定期的にチェックするに値する雑誌になると思われる。

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