Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.54
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2012  54
Journal Club

在宅緩和ケアサービスへの退院依頼の遅れが在宅看取りへの与える影響
−日本における全国調査−

筑波大学人間総合科学研究科  石ヶ森 一枝

Fukui S,Fujita J,Tsujimura M,Sumikawa Y,Hayashi Y,Fukui N.Late referrals to home palliative care service aff ecting death at home in advanced cancer patients in Japan: a nationwide survey.Ann Oncol 2011; 22(9):2113-20.

【目的】
 進行がん患者の人口統計学的特性や退院前後に受けていたサポート内容と、看取りの場所との関連を明らか
【方法】
 対象医療機関は、福祉保健医療関連の総合情報サイト(WAMNET) に掲載されていた5784箇所の訪問看護ステーションのうち、看取りを行っている訪問看護ステーション1000箇所を無作為に選び、訪問看護師宛に質問紙を配布した。質問紙は著者らがシステマティックレビューを行い作成し、内容妥当性は著者ら全員の合意をもって、表面的妥当性はパイロットスタディにて確認した。
 適格基準はがん患者であること、余命6ヶ月以内が見込まれること、病院から退院し在宅緩和ケアを受けていること、研究期間内に在宅あるいは病院で死亡したこと、とした。解析は単変量解析後に多重ロジスティック回帰分析を行った。
【結果】
 有効回答数は568人(69.1%)であった。そのうち在宅で亡くなった患者数が312人(54.9%)、病院で亡くなった患者数が256人(45.1%)であった。多重ロジスティック回帰分析の結果、在宅死に影響を与える要素は10項目であり、その内容は、1.家族が在宅看取りを希望している、2.主介護者が娘、もしくは嫁である、3.患者のADLが要介護度5(寝たきり)、4.退院依頼時から退院までの経過日数が8日以上ある、5.地域への退院依頼時期が適切だと訪問看護師が判断している、6.病院スタッフが退院前に患者・家族に在宅療養における生活面と在宅死についてきちんと説明している、7.在宅緩和ケアチームメンバーに在宅医が含まれる、8.主治医と看護師による24時間体制が組まれている、9.退院直後の1週間に訪問看護師と主治医が3.2回以上連携をとっている10.昨年度の在宅看取り率が50%を超えている、であった。
【結論】
 入院早期からの計画的な在宅移行準備と、退院直後からの在宅医と訪問看護師の連携による集中的なフォローが、在宅看取りの実現につながる。
【コメント】
 複数の先行研究において早期からの退院支援の重要性が述べられているが、本研究はそれらの結果を支持すると共に、在宅看取りへつながる要素を明確にした初めての調査である。今後は、病院から退院した患者以外の在宅看取りへの関連要因を明らかにすることや、前向き観察研究が望まれる。また、患者が望む場所で療養生活を送るためには、院内と地域による在宅療養移行システムの構築も必要だが、 同時に日頃の診療の場において患者・家族が望む療養について話し合われることが望ましく、Advance Care Planning の重要性を再認識させられる。

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