Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.54
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2012  54
口演12
リハビリテーション・リンパ浮腫・皮膚症状
座長・報告  千葉県立保健医療大学 健康科学部 リハビリテーション学科  安部 能成
 第1席は、緩和ケアチームへの依頼の半数以上にリハビリが関わっている状況で、当該緩和ケアチームに所属するリハビリ療法士の緩和ケアリハビリに関する意識調査について、OT3名、PT2名に半構造化面接した結果、緩和ケアを難しくする3概念、やりがい2概念、普及のバリア3概念を抽出できたと報告された。今後は抽出概念の取扱いが注目される。
 第2席は、婦人科癌術後下肢リンパ浮腫治療がQOLに及ぼす影響について、外来集中治療群34例とセルフケア治療群195例の2群間でSF36v2による比較を行い、心身両面で長期的にQOLが改善されたが、中でも精神的効果が大きいと報告された。
 第3席は、リンパ浮腫初期治療における簡易圧迫療法の有用性について、1年間に緩和ケア外来に受診した52症例を対象とし、50例に浮腫部分の軟化を認めたが、荷重されない上肢で改善が良かったと報告された。
 第4席と第5席は関連演題の発表であった。まず、両下肢リンパ浮腫に対する複合的理学療法の有効性の検討では、13例を対象とし、外来治療を施行した結果を統計的に検討した。それによれば下肢体積、BMI、膝関節可動域、蜂窩織炎の頻度のいずれの項目においても改善を認めているが、そのメカニズムの考察にまでは至らなかった。
 次に、下肢リンパ浮腫患者の皮膚温に関する検討では、婦人科癌術後にリンパ浮腫の発生した19例を対象に、皮膚赤外線体温計を使用し、浮腫側と非浮腫側を比較した。その結果、非浮腫側に比べ浮腫側で温度が低いことを見出した。本評価の結果は示唆的段階であるが、患者に負担の少ない評価方法の開発という点で注目された。
 第6席は、皮膚に浸潤した悪性腫瘍に対するMohsペースト外用の有用性についての検討で、乳癌3症例、大腸癌2症例を対象に平均12.8回の施行の結果、全例で止血効果を認めた。腫瘍縮小効果もあったが、継続的使用にあたっては疼痛に対する配慮が必要との示唆が得られた。他の薬剤に比べ止血作用が強く、調剤時間が短く、安価という利点がある。
 緩和リハビリ、リンパ浮腫や皮膚症状は見過ごされがちであるが、方法論を開発しながら地道な臨床研究が行われているところに緩和医療展開の萌芽をみるようであった。

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