Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.54
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2012  54
口演9
栄養・輸液(2)がん悪液質
座長・報告  足利赤十字病院 緩和ケア内科  田村 洋一郎
 本セッション「栄養・輸液(2)がん悪液質」では、以下の臨床研究が報告された。
 演題1:林らは悪性腫瘍死亡患者の各種栄養・炎症指標とPalliative prognostic index(PPI)を用いた予後推量との関連を検討した。CRP値とリンパ球数比率が入院期間に影響し、またPPI による予後推量の妥当性を示唆した。
 演題2:岡らは終末期消化器がん患者のAlbとCRPの値により病期を分類するGlasgow prognostic score(GPS)を採用し、比較検討した。GPS病期の進行に伴いPalliative prognostic scoreは増加、prognostic nutritional indexと生存期間は低下し、早期の栄養学的介入の必要性を示した。
 演題3:濱らはPCTの介入した予後1ヵ月未満のがん患者の栄養摂取状況と栄養指標を検討した。死亡前日、10%の患者が経口摂取可能でありながら輸液実施率が高いという実態を報告し、経過に伴いAlb 値は負に、CRP値は正に相関することを示した。
 演題4:同じく濱らは術前のがん患者に対し鋭敏な栄養指標である血清トランスサイレチン(TTR)とCRPとを病期別に比較検討した。病期の進行に伴いCRPの上昇とTTRの低下を確認し、両者の変動が悪液質の予測法となる可能性を示した。
 演題5:森らは消化器がん終末期患者のがん悪液質を評価するため大腰筋面積をCTにより測定した。骨格筋量を反映する大腰筋面積値が悪液質では著明に減少し、その進行度の指標となる可能性を示唆した。
 栄養障害に至る要因としてエネルギー消費が抑制する「飢餓」、亢進する「ストレス・炎症」、代謝異常を示す「悪液質」が挙げられる。がん終末期ではこれらが混在し、しかもがん悪液質の代謝動態はエネルギー消費が1.抑制する2.亢進する3.大きくばらつくなどの報告が現在までになされ、見解も一致していない。がん悪液質の代謝動態の解明は今後も重要な研究課題と思われる。

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