Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.54
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2012  54
モーニングセミナー7
第5回 CART研究会
座長・報告  国際医療福祉大学三田病院 外科・消化器センター  太田 惠一郎
 前半は、めぐみ在宅クリニック看護師石橋泉子氏に「腹水で苦しむ患者に看護師として何が出来るか?〜 CARTを在宅に取り入れて〜」と題してご講演をしていただいた。めぐみ在宅クリニックでは、2010年10月より2011年5月までに腹水貯留癌患者11症例に在宅CARTを19回実施してきた。腹水ドレナージ中の患者のケア、採取した腹水の濾過濃縮を担当し、連携の訪問看護ステーションに協力を仰ぎ、在宅CARTを安全に実施できる環境構築に努めてきた。患者は腹満感からの解放、下肢浮腫の軽減、ADLアップなどの効果がみられ、自分の栄養が身体に戻ることで元気になれるという思い、治療法がないと宣告された中、できることがあるという思いから心理的効果も得られ、穏やかに在宅で生活できる治療法となっている。演者自身腹水ドレナージ中に病気や生きることへの思いを傾聴し、側に寄り添うことで、看護師として大きな意義を感じている、と語った。
 後半は要町病院腹水治療センタ−の松ア圭祐先生に「“腹水は抜くと元気になる!”〜改良型腹水濾過濃縮再静注システムによる癌性腹水に対する積極的症状緩和〜」と題してご講演をお願いした。従来のCART システムでは膜閉塞により多量の癌性腹水は処理困難であった。2008年2月より膜洗浄機能を付け簡便な外圧式のCARTを考案し、卵巣癌45例、胃癌19例、大腸癌11例など119例で施行し、腹水:5.8L(1.6〜14.9L)、濃縮液:0.8L(0.2〜2.0L)、所要時間:52分(5〜140分)であった。施行直後から腹部膨満感や呼吸苦などは消失し、患者のADL改善に有効であった。闘病意欲の回復により化学療法を再開し、腹水の再貯留をきたさず在宅移行が可能となった症例を認めた。外圧式CARTシステムは自己蛋白成分の回収、腹部膨満感の軽減、自覚症状とともに全身状態の改善が期待でき、癌性腹水に対して積極的に施行すべきと考えられた。今後、回収された癌細胞が抗癌剤感受性試験や免疫細胞療法などの新たな癌治療につながるものと考えられる、と結んだ。

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