Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.54
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2012  54
モーニングセミナー3
在宅看取りを支える持続皮下注射
〜在宅緩和ケアにおける調剤薬局の役割〜
座長・報告  帝京大学医学部内科学講座 緩和医療科/医療情報システム研究センター  有賀 悦子
 茨城県のあけぼの薬局坂本岳志氏は、在宅看取りを支える視点からオピオイド持続皮下注射の使用の現状と供給体制の問題点を中心に、在宅緩和ケアにおける調剤薬局の役割について発表した。
 終末期には経口薬や貼付薬での症状コントロールが困難で、注射が必要となることが多い。しかしこの在宅医療には、持続注入に必要な医療機器の供給が円滑でない、調剤薬局で注射薬の供給対応が難しい(無菌調製室のある薬局は薬局の0.56%)、患家での薬剤交換対応に限界があるなど、普及に向けた課題がある。このような状況を考え合わせた打開策として、調剤薬局が医療機器を医療機関にレンタルし、注射薬と共に供給対応する「調剤薬局によるプロバイダシステム」を提言した。 薬剤師の介入により機器・薬剤の同時管理が可能で、麻薬使用上のリスク回避が期待でき、在宅医の負担も軽減され、もっと患者を受け入れる環境改善につながる。これからに期待されるシステムと感じた。
 この機能を担う調剤薬局を中心に連携体制を構築できれば、他の地域でも対応が可能となる。多くのヒントが参加者に与えられたセミナーであった。
 一方、利用できるシステム・機能があっても患者自身がオピオイドや注射で投与することに不安があれば、システムだけでは解決することはできない。在宅のみならず入院中から持続皮下注にポンプを使用し患者が慣れておくこと、患者の不安に耳を傾け続ける姿勢が大切である。講演に引き続き、多数の意見や質問があり、その活発な議論を通して、このセミナーに参加されていた方々が真摯に患者と家族の心に寄り添いながら、よりよい医療を探察していることを知ることができた。緩和医療の仲間の力強さに触れ、座長の役割を頂戴したものとして、大変胸が熱くなる思いで会を終了した。

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