Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.54
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2012  54
イブニングセミナー6
がん性疼痛管理の最前線 がんによる神経障害性疼痛の治療
座長・報告  昭和大学病院 緩和ケアセンター  樋口 比登実
 大会初日の「イブニングセミナー6」は満席、大盛況であった。演題への関心はもちろんであるが、ペインクリニシャンとしても評価の高い服部先生のご講演を楽しみにされた方々が参集された。服部先生は現在がん研有明病院で“がん治療支援緩和ケアチーム”リーダーとして大活躍されておられる。麻酔科医・ペインクリニシャン・緩和ケア医(?)としての実力を証明するような講演は期待通りのもので、神経障害性疼痛の考え方、薬物療法のup to date、諸外国のガイドラインの紹介から本邦におけるガイドラインまで非常にわかりやすく解説していただいた。圧巻は、神経ブロックによる疼痛コントロールの事例紹介であった。くも膜下ブロックに硬膜外刺激電極(ESCS)療法を併用し、薬物療法では鎮静以外考えられないような難渋する疼痛をコントロールされた経過の説明には、ただただ感心するばかりであった。参加者の方々は、自分の病院にもぜひ服部先生がいてほしいと思われたに違いない。
 神経障害性疼痛は、病名ばかりが一人歩きし、しっかりとしたアセスメントもできないまま薬物療法が施行されている現状が見受けられる。がん患者で難渋する疼痛があるとNSAIDs、オピオイドはもとより鎮痛補助薬など次々薬剤を追加し、疼痛コントロールはできていないが副作用はしっかり出現し困 っているといった話を聞くことがある。疼痛管理の基本は診断!と言っても過言ではないと考えている。多職種による症状のアセスメントを行い、自ら行った行為に対する評価を繰り返し、痛みと真摯に向き合っていかなければならないことを改めて考えさせられた。さらに治療の武器の多いことがどれ程疼痛治療を質の高いものにするかを実感した。この講演をお聞きになった方々は、きっと明日から神経障害性疼痛との診断で闇雲に鎮痛補助薬を増量・併用することはないと思う。鎮痛補助薬の適正使用を再度認識することができ、明日からの診療に役立つ有意義なご講演であった。

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