Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.54
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2012  54
教育講演8
遺族へのケア
座長・報告  岩手医科大学附属病院  長澤 昌子
 坂口幸弘先生による「遺族へのケア」の教育講演は、会場からあふれるほどの聴講者が集まりました。坂口先生は、8年前から葬儀社が提供している遺族ケアサービス「わいわい食堂」の活動に参加されていることを話題にされ、冒頭から大変興味深いものでした。
 遺族へのケアについて、坂口先生は抄録に「家族構造の変化や地域協働体の崩壊によって家族や地域での支え合いの力が弱化する一方で、多死社会を迎えつつある日本において、遺族に対するケアは今後ますます必要になる」と記しております。ご講演では「遺族へのケアがなぜ必要か」、「誰がするのか」、「誰に対してするのか」、「緩和ケアにおける遺族のケア」という内容でわかりやすく講演されました。
 「遺族へのケアがなぜ必要か」については、遺族の死亡率や罹患率の上昇、さらには自殺リスクの上昇などを挙げて述べられました。また一方では、遺族ケアが新たな人生への再出発や人間的成長を促すためであるとの意味にも触れました。遺族ケアは治療(回復)モデルと、適応(成長)モデルの二重過程モデルが適応されることを示され、心のケアのみならず、これからの生活支援が重要であるとの視点を強調されました。
 「遺族ケアは誰がするのか」については、遺族同士や、家族・親族・友人など様々ですが、医療者は亡くなる前を知るという点から、特別な存在であると述べられたことが大変印象的でした。
 「緩和ケアにおける遺族のケア」については、多くのホスピス・緩和ケア病棟では手紙の送付や追悼会などを行っているとのことですが、組織としての体制の整備など課題も多くあるとのことでした。また、患者さんが亡くなられた時に「お別れの時」のセレモニーをされているヴォーリズ記念病院の取り組みを紹介され、医療者自身のケアの大切さも述べられました。
 東日本大震災に見舞われた今年、「遺族へのケア」について学ぶ機会を得たことは、大変意義深いと感じました。

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