Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
学会印象記

第16回日本緩和医療学会学術大会に参加して

名古屋第二赤十字病院 薬剤部 緩和ケアチーム  川出 義浩
 2011年7月29日から30日にかけて、第16回日本緩和医療学会学術大会が札幌市で開催されました。2日間の有料参加者は約5500名で、大会のテーマは「いのちをささえ いのちをつなぐ 緩和ケア 〜病院から地域へ〜」でした。多岐にわたるテーマとプログラムが用意された中、東日本大震災関連企画「被災地からの声に耳を澄ます」が印象に残りました。参加した1日目の内容を報告します。
 岩手県立大船渡病院緩和医療科の村上雅彦先生は、DMRT資格をもち病院災害対策の指揮をされました。普段から連携してきた地域医療スタッフからの要望を断り続けたことに苛まれました。5月以降、「つらさを抱える自分たちが、つらさを抱える患者をみなければならないつらさ」による不眠、体調不良となった話をされました。
 石巻赤十字病院緩和医療科の日下潔先生は、石巻医療圏で唯一残った病院として、全国からの救護班とともに、約20万人の命を支えたことを話されました。今回の震災の特徴として、1)慢性疾患の継続、2)上気道炎、気管支炎、アレルギー疾患が多い、3)家屋片づけ時の外傷、4)精神科疾患の断薬を挙げられました。私自身、石巻赤十字病院薬剤部支援で3月下旬6日間、準職員として勤務しましたので共感できました。
 うえまつ調剤薬局/ 宮城県薬剤師会の轡基治先生は、冒頭に深呼吸をしましょうと話され、会場全体の緊張が解ける思いがしました。発災直後、最優先に在宅安否確認したのは、電源の必要な患者、独居の患者とのことでした。通信手段が遮断され、交通信号が麻痺した状況では、日没までに帰宅することや、患者宅に到達できない場合には撤退することも重要であると話されました。
 緩和医療と災害医療は、異なる点は多くありますが、緩和ケアのこころは、災害医療の現場でも、いのちをささえる原点になると実感しました。同時に、被災者でもある医療従事者の方々が、力を合わせ、多くのいのちをつなぐことに尽力されたことに敬意を表したいと思います。これからも継続的な支援が必要であると痛感しました。

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