Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
学会印象記

第17回日本緩和医療学会学術大会(札幌大会)に参加して
〜看護師として考えること〜

JA愛知厚生連 安城更生病院 がん看護専門看護師  則竹 宏美
 7月に北海道で行われました、第17回日本緩和医療学会学術大会に参加いたしました。今回のテーマは、『いのちをささえ いのちをつなぐ 緩和ケア〜病院から地域へ〜』であり、いのちを通じて人間の絆を感じ、医療者を超えた一人の人間としてケアを考える講演が多く、大変興味深いものばかりでした。
 今回は、日本緩和医療学会がスタートして15年目であり、『緩和医療の原点を見直す』ということが1つの大きなテーマであると感じました。特に印象深かったのは、田村恵子先生による「がんの痛みを和らげよう!〜全人的ケアの視点からのアプローチ〜」としての講演でした。『病を患う人は、苦悩とともに生きていかざるを得ない』のであり、痛みがその人にとっては苦悩であることもあるが、そうでないこともあるため、その人にとっての痛みの意味を考えることが大切であると講演されていました。そのため、患者に寄せる関心事に対する自分自身の傾向を認識し、患者の状況についてチームで補うことが大切であるとの言葉に、肩の力が少し和らぐのを感じました。また、患者の思いを察して理解するのではなく、いつも側に寄り添える看護師だからこそ、その思いを患者に直接確認し、それを他職種へ伝え、緩和ケアチーム力を高め、患者の思い・いのちをささえることができればと感じます。
 また、緩和ケアチームの活動だけではなく、在宅緩和ケアや緩和デイケアの討論も活発にされていました。高齢社会と核家族化が加速的に進行したことに加えて、日本人特有の「他者の負担にならない」という思いが、在宅でend of lifeを迎えることを困難にしていると考えられます。そこで、患者が「また家に帰りたい」という、心の底にしまいこんでいただろう思いを引き出すことが大切であると感じます。苦痛緩和のためのサイエンスをもってそれを実現し、病院から地域へ、患者が大切にしている子や孫へいのちをつなぐことができればと一層強く感じます。

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