Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
学会印象記

日本ペインクリニック学会第45回大会に参加して

弘前大学医学部附属病院 麻酔科 緩和ケア診療室  佐藤 哲観
 日本ペインクリニック学会第45回大会が平成23年7月21日から23日までの3日間、愛媛県松山市で開催された。当地は正岡子規の故郷であり、晩年は脊椎カリエスによる激痛に耐えながらも最期まで必死に筆をとり続けた彼は、今大会のシンボル的存在であり、松山市立子規記念博物館館長の竹田美喜氏による特別講演も行われた。大会長を務められた愛媛大学大学院教授である長櫓巧先生のおもてなしの心が行きわたり、温もりのある心地よい学会であった。
 神経ブロックに関する演題の他に注目された点をいくつか述べる。慢性痛治療に関しては、神経障害性疼痛(NP)治療薬の評価が数多く発表された。NP治療薬としては、予想通りプレガバリン関連の演題が多数採用され、デュロキセチンやミルタザピンの使用経験に関してもいくつか発表があり、これら新規薬剤に寄せられる期待の大きさがうかがわれた。学会のワーキンググループにより編集されたNP薬物療法ガイドラインが大会期間に合わせて発刊されたが、各薬剤の有用性に関するエビデンス確立が待たれる。新規抗けいれん薬・抗うつ薬の使用経験に関する報告では、海外での報告と比べて副作用発現による使用継続困難症例の率が高く、慎重な初期開始用量設定やタイトレーションが必要であることが改めて認識された。また近年数種のオピオイド製剤が非がん疼痛に保険適応となり、その評価や使用上の問題点も話題となった。
 がん疼痛治療や緩和ケアに関するセミナーや演題も多数あり、ペインクリニシャンの緩和ケアへのより積極的な参加が呼びかけられた。
 緩和医療や緩和ケアと同様に、ペインクリニックの分野においても患者の個別性が高くエビデンスレベルの高い研究をデザインすることは難しいが、詳細な症例報告や後ろ向き研究からも得られる知見は多く、様々な疼痛に関するアセスメントや治療法を学ぶことのできる間口の広い学会である。疾患を問わず「痛み」に興味をお持ちの方は是非一度ご参加を。

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