Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
Journal Club

日本のがん患者を対象としたマインドフルネスに基づいた
瞑想療法についての質的研究

聖マリア学院大学看護学部  安藤 満代

Ando M, Morita T, Akechi T, Ifuku Y. A qualitative study of mindfulness-based meditation therapy in Japanese cancer patients. Support Care Cancer. 2011 Jul; 19(7):929-33.

【目的】
 治療中のがん患者に対して、心身への注意を促すマインドフルネスアプローチによって、どのような心理面の効果があるのかを質的分析によって調べることを目的とした。
【方法】
 主治医が登録基準を満たす患者を面接担当者に紹介した。介入は、臨床心理士または看護師が2週間の間隔をあけて2回行った。参加者は、介入前後に質問紙に回答し、そのなかの「病気が意味すること」という質問に対する自由記述について、文章の意味がわかる最小限の単位をコードとして、それらをまとめて中カテゴリー、大カテゴリーとして質的分析を行った。
【結果】
 ある総合病院の外科外来で治療を受けている28名が参加した。介入前は、「否定的感情」「負担感や苦悩」「肯定的認知への努力」「具体的対処への努力」「人生の振り返り」「命や時間の大切さへの気づき」「健康への注意」「周囲への感謝」という中カテゴリーが得られ、最終的に「苦悩」「コーピングの模索」「人生観の変化」「スピリチュアリティの向上」「個人の成長」というカテゴリーが抽出された。介入後は、「肯定的な認知」「適応的な生活の変化」「健康への気づき」「周囲への感謝」「肯定的意味づけ」「医の死や時間の大切さの気づき」「病気の否定的認知」という中カテゴリーが得られ、最終的に「適応的なコーピング」「個人の成長」「スピリチュアリティの向上」というカテゴリーが抽出された。
【考察】
 介入前は、苦悩のなかでコーピング方法を模索している心理状態が主であったが、介入後は「肯定的なコーピング」「適応的な生活の変化」など、適応的な心理状態が中心になるという変化がみられた。これらからマインドフルネスは自分独自のコーピングを模索するうえで有用である可能性が示唆された。また、Mackenzie et al. の研究では、マインドフルネスの介入後には「セルフコントロール」というカテゴリーが抽出されていたが、日本人にはみられなかったことから文化的な差異があることが示唆された。

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