Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
Journal Club

適応障害に対する精神医学的治療

国立がん研究センター中央病院  清水 研

Shimizu K, Akizuki N, Nakaya N, Fujimori M, Fujisawa D, Ogawa A, Uchitomi Y. Treatment response to psychiatric intervention and predictors of response among cancer patients with adjustment disorders. J Pain Symptom Manage. 2011 Apr; 41(4):684-91.

【目的】
 がん患者がストレスに反応して適応障害に罹患することは多いが、精神科的治療介入後の臨床経過に関してはあまり知られていない。本研究においては、精神腫瘍科に紹介された適応障害患者の治療介入後の改善率と、治療反応の予測要因を検討した。
【方法】
 国立がん研究センター東病院精神腫瘍科に紹介となった後の治療経過に関して、担当医がClinical Global Impression Improvement Scale(CGI-I) を用いて、毎週評価を行った。治療介入後4週間以内にCGI-I が2点以下となる良い結果が得られた患者を改善群と定義した。また、カルテから人口統計学的情報、医学的情報を得た。これらを独立変数として、多変量解析にて改善を予測する要因を検討した。
【結果】
 調査期間中に対象となった238名のうち、136名(57.1%) の患者に改善を認め、改善群のほとんどは適応障害の診断に該当しないレベルまで症状が軽快していた。一方で、23.5%は治療に反応せず、2.9%の患者はより重症のうつ病に移行していた。16.4%の患者は治療を継続しなかった。
ベースラインで疼痛があった患者は治療反応性が良い一方で、身体活動度が悪い患者は改善が得られにくかった。
【考察・結論】
 がん患者に合併する適応障害は、精神医学的介入後に過半数が改善を得られている一方で、少数であるがうつ病に移行するケースもあった。また、いくつかの治療反応を予測する要因が明らかになったが、疼痛が強い患者の方が適応障害が改善しやすいという結果については予想外であった。今回のデータからはその理由の検討は難しいが、疼痛が鎮痛薬などで改善することを介して、精神症状も改善していた可能性が考えられる。

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