Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
Journal Club

日本の緩和ケア医が経験しているコルチコステロイドの効果と有害事象:実態調査

埼玉県立がんセンター緩和ケア科  松尾 直樹

Matsuo N, Morita T, Iwase S. Epub 2011 Jun 1.Effi cacy and undesirable eff ects of corticosteroid therapy experienced by palliative care specialists in Japan: a nationwide survey. J Palliat Med. 2011 Jul; 14(7):840-5.

【目的】
 コルチコステロイド(以下、ステロイド)はがん患者の様々な症状に対して、一般的に使用されているが、有効性に関する統一された見解はなく、経験的に使用されているのが現状である。ステロイドの食欲不振、倦怠感、呼吸困難に対する緩和ケア医が感じている有効性とその予測因子、副作用を明らかにするための全国調査を行った。
【方法】
 ホスピス・緩和ケア病棟178施設の医師に質問紙を送付した。
【結果】
 回収率70%。ステロイドを使用している施設は123施設(99%)。入院患者の71%(中央値)に使用されていた。医師が感じている有効率(平均)は食欲不振では57%、倦怠感では50%、呼吸困難では52%。いずれの症状においてもほとんどの医師が7日以内に効果が期待できると感じていた。23%の医師が重篤な副作用を経験しており、その内容は消化管出血(5.8%)、消化管穿孔(5.0%)、致死的な高血糖(8.3%)、カリニ肺炎(2.5%)などであった。医師が有効と感じている予測因子として、50%以上の医師が回答したものは食欲不振に対しては肺癌患者、消化器癌患者、倦怠感に対しては腫瘍熱を伴う倦怠感、消化器癌患者、肺癌患者、呼吸困難に対しては癌性リンパ管症、気道閉塞、多発性肺転移であった。一方、無効と感じている予測因子として食欲不振に対しては悪液質、倦怠感に対しては肝不全、腎不全、悪液質、貧血、抑うつ、呼吸困難に対しては胸水、気道分泌増加、貧血、肺炎、衰弱であった。
【考察】
 本邦の緩和ケア医は食欲不振、倦怠感、呼吸困難に対してステロイドは半数以上の患者に有効であると感じていた。また、医師は病態に基づいて、ステロイドが有効かどうかを予測しながら投与していたが、その予測因子は医師によって差異があった。今後はこれらの予測因子と考えられる各病態においてのステロイドの有効性を検証する前向き研究が必要である。
【コメント】
 現在、本研究で課題の一つとなったステロイドの予測因子を探索する多施設前向き研究を予定しています。

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