Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
Journal Club

『抗がん剤治療の中止』を説明する際の腫瘍医の負担

九州がんセンター 緩和ケアチーム/ サイコオンコロジー科  大谷 弘行

Otani H, Morita T, Esaki T, Ariyama H, Tsukasa K, Oshima A, Shiraisi K.Burden on oncologists when communicating the discontinuation of anticancer treatment.Jpn J Clin Oncol. 2011 Aug;41(8):999-1006.

【目的】
 本研究の目的は、『抗がん剤治療の中止』を患者家族へ説明する際の腫瘍医の負担の認識、要因、方策を体系的に把握することである。
【方法】
 対象は多施設のがん専門病院の腫瘍医で、自己記入式アンケート調査を行いそれぞれの関連性について、腫瘍医の負担を目的とした多変量解析を行った。
【結果】
 394人(有効回収率67%) が参加した。47%の腫瘍医が『抗がん剤治療の中止』を患者家族へ説明することに対して高いレベルの負担を感じ、この負担のため17% の腫瘍医がやめたいと考えていた。その要因として“患者の希望を失わせるという感情”、“家族から非難されるのではという心配”、“患者が自制心を失うのではという心配”、“説明時間の不足”の4因子が示唆された。腫瘍医が考える負担軽減のための有効な対策は、“周囲の病院や施設のスムーズな連携”、“説明をするための落ち着いた空間の確保”、“説明後に患者や家族の気持ちをフォローする看護師や心理士やMSWの存在”、“説明をするための十分な時間の確保”などであった。
【考察・結論】
 多くの腫瘍医が『抗がん剤治療の中止』を患者家族へ説明する際に負担に感じている。腫瘍医の負担軽減のための有効な対策は、“説明のための十分な時間や空間の確保”、“周囲の施設及び多職種の連携”、“コミュニケーションスキルトレーニング(その内容は特に患者の希望を保ちながら患者だけではなく家族とのコミュニケーションなどの特定の場面に関すること)”が考えられる。コミュニケーションスキルトレーニングの意義はもとより、腫瘍医が時間に追われながら勤務していることを加味しつつ、役割分担を考慮した連携クリニカルパスなど、多職種・多施設で協力し合えるような具体的な体制を検討することが今後の課題である。これらはしいては、患者家族へ良い影響をもたらすことになるであろう。

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