Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
Journal Club

看護師がスピリチュアリティを考える体験をした臨床場面とその内容
―X県の看護師への調査から

新潟県立看護大学  酒井 禎子

Sakai Y, Ohkubo A, Okamura N, Abe Masako, Toda Yukiko. Nursing practices in which nurses experienced a realization of spirituality and their thoughts at that time: a survey of nurses in one prefecture.Palliative Care Research 2011;6(1):216-21.

【目的】
 近年、人間の健康におけるスピリチュアリティ(spirituality)の重要性が注目されるようになってきたが、日本人におけるスピリチュアリティの概念はいまだ曖昧なまま看護ケアが模索されているのが現状である。本研究は、看護師がスピリチュアリティを考える体験をした臨床場面とその内容とはどのようなものであるかを明らかにすることを目的とし、臨床の場で看護師が実感として感じているスピリチュアリティの実態を検討した。
【方法】
 X県内の4病院と1緩和ケア病棟の看護師に対して、ケアの中でスピリチュアリティを考えた体験の有無とその内容についての質問紙調査を実施した。そして、スピリチュアリティを考えた体験があると回答した人が記載したその体験の記述を、スピリチュアリティを考えた場面と、スピリチュアリティについて考えた内容の2つの視点に沿って分析した。
【結果】
 921名の看護師に対して調査用紙を配布し、835名から回答が得られた。その中でスピリチュアリティを考えた体験を持つ看護師は全体の2割程度であった。看護師は、病と共に生きる、あるいは死に向かう患者の姿から人間の強さや人生を考えるとともに、生と死にまつわる超越的な出来事を通して、スピリチュアリティを考えていた。また、臨床で困難と感じた患者へのケアなどを通して、心身領域にとどまらないケアへの考えを深めていた。スピリチュアリティについて考えた内容としては、自らの臨床での体験を通して培われていく死生観について述べているものと、自らが看護職として努力しているスピリチュアリティに対するケアのあり方について述べているものがみられた。
【結論】
 このような人の生と死や超越的なものへの看護師の関心は、日本人のスピリチュアリティの構造を反映していると考えられるとともに、スピリチュアリティの概念を自身の体験と関連させながら理解を深める看護教育の必要性が課題として示唆された。

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