Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
Journal Club

がん疼痛治療患者182名に対する世界標準量アセトアミノフェンを
用いたがん疼痛管理に関する後ろ向きコホート研究

岡部医院  河原 正典

Kawahara M,Okabe K.Retrospective cohort study on pain management using global standard-dose acetaminophen in 182 patients treated for cancer pain.Palliative Care Research 2011; 6(2): 133-42.

【目的】
 アセトアミノフェン(APAP)は、WHO方式がん疼痛治療ガイドラインの第1 段階で使用される薬剤であるが、本邦では2011年1月まで1)承認用量が1回300〜500mg、1日900〜1,500mgと海外の「1日4,000mgまで」に比べて少なく、鎮痛効果を得るのに十分な量が使用し難い状況にあった。そのため、がん疼痛管理におけるAPAPの使用経験は十分とは言えず、世界標準投与量におけるAPAP の有効性や安全性について検討した報告は少ない。そこで今回我々は、世界標準量APAP+オピオイドを投与した症例(APAP群)とNSAIDs+オピオイドを投与した症例(NSAIDs群)を比較し、世界標準量APAPの有効性及び安全性について検討した。
【方法】
 当院にて世界標準量APAP(1,800mg〜2,400mg)+オピオイドを投与した182症例とNSAIDs +オピオイドを投与した82症例に対して、有効性の指標として安静時と体動時の痛み、安全性の指標として嘔気、肝機能(AST・ALT)を調査し、2群間で後ろ向きに比較検討した。
【結果】
 有効性については、安静時及び体動時の疼痛管理状況共にAPAP群とNSAIDs群で同等であった。オピオイド等の併用薬剤についての検討が不足しているものの、がん疼痛治療における非オピオイド鎮痛薬としての世界標準量APAPは、有効性の点でNSAIDsより劣るとは言い難い結果が得られた。また安全性に関するAPAP群とNSAIDs群の比較では、嘔気の発現頻度はAPAP群が有意に低く(p <0.01)、AST・ALTが基準値の2.5倍を超えた患者の割合は両群同等であった。APAP投与群に重篤な有害事象は確認されなかった。
【結論】
 今回の検討では、APAP群の有効性はNSAIDs群と遜色なく、安全性についてはNSAIDs群よりも有意に良好な結果が得られた。以上のことから、世界標準量APAPはがん疼痛治療における非オピオイド鎮痛薬として、本邦でも有用な選択肢の1つになり得ると考えられた。
 1) 本邦におけるAPAPの承認用量は、2011年1月に1回1,000mg、1日4,000mgまでに変更された。

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