Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
口演18

臨床研究

座長・報告  名古屋大学医学部保健学科  安藤 詳子
 本セッションでは、臨床における研究として、疼痛緩和・緩和ケアチーム介入・遺族サポートグループの効果・デスカンファレンス支援の効果・ソーシャルネットワーキングサービスの構築・在宅緩和ケアプログラムについて、概略、以下のように報告された。
 東邦大学医療センター佐倉病院の森山氏らは、β1アドレナリン受容体遺伝子の2多型が痛みや鎮痛薬に対する感受性個人差の一つの要因であることを示唆し、疼痛緩和治療のテーラーメイド化を推進し安全性と確実性を目指す重要性を述べた。
 神戸大学医学部附属病院緩和ケアチームの坂下氏らは、入院患者200名分の調査結果から緩和ケアチーム介入希望の有意な因子として患者背景や症状に特徴があることを示唆した。
 神戸松蔭女子学院大学人間科学部の大和田氏らは、遺族サポートグループ(SG)実施前後の複雑性悲嘆(CG)や気分・不安に関する調査研究を実施し、SGはCGよりも気分・不安に効果が現れやすく、CGに対する個別対応の重要性を示唆した。
 大阪医科大学附属病院看護部の上田氏らは、専門看護師や認定看護師のスペシャリストによる看護師に対するデスカンファレンスの研修や企画・運営・進行の支援がされた後、質問紙調査を実施し、デカンファレンスの苦手意識や負担感の軽減、感情表出の促進などの効果を明らかにした。
 石心会川崎幸病院消化器病センターの高橋氏らは、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を利用したがん患者サポートシステム構築について、その実績を報告し、がん患者の精神面をリアルタイムにサポートするシステムの成果と課題を発表した。
 岡山大学病院麻酔科蘇生科の西江氏らは、カナダのウィニペグ市による在宅緩和ケアプログラム(余命6ヶ月以内の時期で心肺蘇生・化学療法・IVHをしない等の約束の上、医療費は無料)への希望について、市民向けの大規模調査を実施し、約5割の希望を確認した。終末期における本人の希望を尊重するための貴重なデータを示した。
 以上、テーマは多岐にわたっていたが、いずれもより良い実践に向けた貴重な知見が発表された。

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