Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
口演1

消化器症状

座長・報告  市立横手病院 外科  丹羽 誠
 演題1:嘔気嘔吐で依頼されたケアチームが、想定される病態に応じて制吐剤投与を推奨することの有用性を述べられた。発刊されたばかりの「消化器症状緩和に関するガイドライン」を具現化した内容であり、多くの聴衆の参考になったに違いない。
 演題2、3:ステントに関する話題。10年4月から十二指腸ステントが保険収載された。短期成績の良さは言われているが、長期的にはバイパスが優る。予後予測、適応が個別に問題。大腸ステントはストマを避けうる価値を認めながらも、保険収載されていないこと、穿孔などの合併症の問題がある。ステントが不具合であった症例を公開し、蓄積共有が望まれると感じた。
 演題4:高齢者の胆管炎併発閉塞性黄疸に対し経皮経肝胆道ドレナージを行わないまま観察することになった2 例、黄疸が進まず穏やかに過ごされた経験を発表された。
 演題5:肝細胞癌終末期の多彩な臨床経過を検討し、在宅移行への問題点を整理された。出血が46%、オピオイド使用41%。出血から死亡まで中央値2日と短い。治療継続不能と判断した際に予後と起きうる症状を的確に説明し、自宅で対応不能な場合はいつでも入院可能なことを伝えて不安を取り除き、速やかな在宅移行を図る必要性を強調された。
 演題6:腹水濾過濃縮再静注法を卵巣癌患者さんに行った経験。演者は、満足できる結果でなかったと。様々な工夫が本学会中にも発表されているが、今回発刊された「ガイドライン」のがん性腹水管理の項目には、本法が記載されていない。エビデンスのある論文が発表されていなかったことがその理由と、ガイドライン編集者から伺った。多くのがん性腹水で苦しむ患者さんに福音を伝えるべく、関係者のご努力を期待する。

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