Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
モーニングセミナー4
嘔気、嘔吐で苦しむ患者にどう対処するか?
新しい「がん患者における消化器症状の緩和に関するガイドライン」による対処
座長・報告  医療法人 東札幌病院 緩和ケア科  中島 信久
 このたび、日本緩和医療学会より「がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン2011年版」が発刊された。本ガイドラインは、緩和医療の実践において重要な課題の一つである消化器症状のうち、主として嘔気、嘔吐について適切な診療が行われることを目的として作成されている。今回、消化器症状ガイドライン作業部会の部会長として、その作成にご尽力された社会保険神戸中央病院の新城拓也先生を迎え、本ガイドラインの作成経緯に始まり、嘔気嘔吐全般の解説、さらには進行・再発期のがん患者にしばしば出現する消化管閉塞についてお話いただいた。
 最初に、ガイドラインというものの立ち位置や、それを個々の医療者がそれぞれの日常臨床の中でどのように活用していくかということについて話された。ここ数年、本学会からいくつかのガイドラインが発刊されているが、これら全てに共通する考え方であり、とても示唆に富む内容であった。
  続いて、各論の話に移った。がん患者に見られる消化器症状は種類も多く、原因もさまざまである。中でも嘔気・嘔吐は一般的な症状として多くみられるが、これに起因する患者のQOL低下は著しく、医療者がその対応に苦慮することは少なくない。この嘔気・嘔吐に関して、病態生理と原因に応じた治療選択の実際について解説された。
 消化管閉塞は嘔気・嘔吐の主たる原因の1つである。これに対する治療について概説した。まずは外科手術、内視鏡手術などの適応を検討するが、これらが適応となることは少ない。その場合、薬物療法が主体となるが、その際のキードラッグともいえるオクトレオチドについて、ガイドラインにおける位置づけとエビデンスを含めて解説された。
 こうしたお話に続いて最後に話された、「緩和医療では、患者の『体験』を変えていくための創意工夫も重視した診療を心がけることを忘れてはならない」というメッセージが印象深かった。こうして盛会のうちに、このセミナーを終了した。

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