Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
東日本大震災関連企画
被災地からの声に耳を澄ます
座長・報告  医療法人社団 洞仁会 洞爺温泉病院  岡本 拓也
 なんて報告したらいいのでしょうか。表現に戸惑います。おそらく発表をして下さった皆様方は、もっともっと大きな戸惑いを感じ、苦痛を伴いながら準備をして下さったのだろう、と思います。心から深謝申し上げます。
 2日間にわたり、7名の方に発表をしていただきました。時間が足りずご迷惑をおかけしましたこと、お赦し下さい。どのお一人も、当然のことながら辛く重い現実を、語り得る精一杯のところまでお話し下さいました。言葉に詰まる場面もあり、お一人お一人が背負ってきたもの、今現在も抱えているものの大きさが言外に伝わって参りました。自ら被災者であるにもかかわらずケアする立場で懸命に働いて来られた医療者の皆さんの苦闘の声は、発表者の話の内容以上に、発表者の姿そのものから聴こえてくるようでした。
 発表者の一人から後ほどいただいたメールの抜粋です。「私はこの震災に触れ、どのように関わり行動したか、その結果どのような事が起き、今後どのようにしたらいいのか、回答ではなく、一つの方向性を示す発表にしたかったですが、中々思いを伝えられなく、申し訳なく思っております。気持ちがまだ不安定なんですね・・・。時間が必要と考えています。この震災で、多くの友人・知人を亡くしました。私も被災者ですが、家族・家・車両等を失いたった一人になってしまった弊社職員がいます。私にとって、この職員への関わりが緩和医療の始まりかもしれません。発表の日、ホテルに戻り、大下大園先生より頂いた『慈悲喜捨』という言葉を前にして、皆さんの思いが心より溢れ、涙致しました。この学会は多くの中の一つの学会ではなく、人生の糧になる大きな意味のある学会となりました。様々な形でこの緩和医療学会にかかわっていきたいと考えております。」
 会場の参加者の一人から後ほど学会事務局に送られてきたメールの抜粋です。「東日本大震災関連企画のセッションには感涙するのみで言葉が出ませんでした。非被災地の目線ではなく、同朋として今の私達は被災者の方々の尊い犠牲の上に生かされているのではないかと考えています。たまたま逆の立場になっただけのことです。『何ができるか』の問いに対しては、私達の身代わりになられた被災地の方々と物心ともに共有する覚悟をもつことが必要であると強く思いました。患者・家族との心の共有が医療の重要な要素であると叫ばれている今、今回のセッションを通じて医療者として考え方を根本から再度整理をさせて頂きました。」
 このセッションを通じて耳を澄まして聴こえてきた現地からの声に対して、個人として、また日本緩和医療学会として、どのように応えて行くのかが、いま問われています。

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