Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
ワークショップ4
症状マネジメントup to date
座長・報告  市立札幌病院 緩和ケア内科  合田由紀子
 このセッションは、第2日目の午後に東札幌病院緩和ケア科の中島信久先生とともに座長を務めさせていただいた。約800席の会場に立ち見者もおり、参加者の関心の高さがうかがえた。
 セッションの進行は、参加者が臨床的な問題意識を持ちながら聴くことができるように、はじめに座長からトリガーとなる症例を提示し、演者にはそれに沿う形でプレゼンテーションしていただいた。
 トップバッターの札幌医科大学の渡邊昭彦先生には「疼痛」について、NSAIDsとオピオイドで緩和できない痛みを訴える症例が提示され、最近発売されたプレガバリンとトラマドールに焦点を当てた講演をしていただいた。
 次に「消化器症状(嘔気・嘔吐)」について、筑波メディカルセンターの久永貴之先生には、従来型制吐薬の無効な症例に新しい向精神病薬が制吐薬として適応があるかどうかという疑問が提示され、制吐薬の選択にはどのようなエビデンスがあるのかを丁寧に解説していただいた。
 「倦怠感のマネジメント」では、埼玉県立がんセンターの松尾直樹先生に、予後1−2か月でステロイド増量でも改善しない症例が提示され、倦怠感の評価、診断、治療の一連の流れを紹介していただいた。
 「緩和ケアにおけるせん妄」では、市立札幌病院の上村恵一先生に、抑うつ状態として精神科にコンサルテーションされたが、実は低活動型せん妄であったという症例を切り口として、せん妄の病態生理と適切な抗精神病薬や抗うつ薬の使い方について、熱く語っていただいた。
 「適応障害・うつ病」では、千葉県がんセンター秋月伸哉先生に、「早く楽になりたい」と訴える症例が提示され、このような精神医学的な問題が臨床現場で適切にキャッチされ、専門家と協働して介入できる仕組みの大切さを語っていただいた。
 各演者に質問があり、そのうちの1つに「スピリチュアルペインをうつや適応障害として薬で片づけてしまう危険」があった。意識に障害を来している病態を見過ごすことなく、適切な薬物療法や精神療法がなされることで、患者は意識の清明さをとりもどし、自らのスピリチュアルな問題に向き合えるようになるのではないかと、私も講演を聴いて思うにいたった。参加者とともにさらにディスカッションを深めたいと思う充実したセッションであった。

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