Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
パネルディスカッション3
日本におけるスピリチュアルケアの本質に迫る
座長・報告  上智大学 グリーフケア研究所 東札幌病院  小西 達也
 身体症状コントロール技術の進展もあいまって、緩和医療でのスピリチュアルケアの重要性に対する認識が高まりを見せている。しかしその一方で、本分野の幅広さや奥行きの深さ、そして本質についての議論は未だ十分になされていない。
 本シンポジウムでは、ご参加の皆様に認識を深めていただくべく、スピリチュアルケアの様々な側面についての代表的論者の先生方5名にお集まり頂いた。870席もの会場は多数の立見を含め超満員であった。
 安藤泰至先生は、分野によって異なるスピリチュアリティ理解のなかで、医療におけるそれの特徴と問題点について、窪寺俊之先生はキリスト教、および特定宗教によらない立場のスピリチュアルケアについて、大下大圓先生は仏教の立場から、鎌田東二先生は神道の立場から、それぞれスピリチュアルケア等についてお話下さった。また村田久行先生は看護師を中心に医療者の間で広まっているご持論についてお話下さった。
 限られた時間内ではあったが、会場からも現場に即した具体的な質問が多くなされた。それに対してパネリストの諸先生方が熱心にお応え下さった。
 印象的であったのは、スピリチュアルケアが何を目指すか、その本質について、諸先生方が明確にご発言下さったことであった。村田先生は「苦しみを和らげ新しい生き方を援助すること」、鎌田先生は「安心」、大下先生は「解脱」、そして窪寺先生は「納得いく人生のお手伝い」、安藤先生は「一人一人の生のまるごとの肯定」と述べられた。
 今回のシンポジウムは、この分野の代表的論者が一同に会する記念すべき機会であったが、スピリチュアルケアは、より本格的な議論を展開するための「第二章」へと進むべき時を向かえているとの印象を得た。本シンポジウムがその契機となることを切に祈っている。

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