Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
パネルディスカッション1

がん戦略研究OPTIMプロジェクトの活動報告と今後の課題

座長・報告  鶴岡市立荘内病院 外科  鈴木 聡
 OPTIM介入の3年間で、それぞれ何を行った結果、何が変わり、何がわかったかを介入4地域のパネラー2名ずつに発表していただいた。
 山形県鶴岡(緩和ケア提供体制が未整備)地域から、中目先生は医師会の立場からOPTIMの介入により在宅緩和ケアをはじめた診療所数が大幅に増加し、かかりつけ医のスキルアップが地域全体の緩和ケアのレベルアップにつながっている状況を報告した。病院事務の瀬尾先生は、地域医療連携の立場からOPTIMのような国家戦略的ネットワークと既存の草の根的ネットワークの違いを理解した上でそれぞれの長短をうまく生かすコツを説明した。
 長崎(医師会を中心に緩和ケアが整備されている)地域の病院看護師・益冨先生は、ホスピス病棟からみたOPTIMの効果と課題について触れ、自宅に帰りたいという思いに即応できるネットワークの整備の必要性を強調した。栄養士の古川先生は、緩和ケアにおける食の意味を伝えるために独自のパンフレット「在宅療養における食事のヒント」の活用事例を報告した。
 柏(がん専門病院を中心に整備されている)地域からは、相談支援センター看護師の原田先生が院外型相談支援センターの役割について、院内型と比較しながらその有用性を強調した。保健所の保健師・荒巻先生はがん対策における行政の役割について柏市の取り組みを紹介しながら行政職員への緩和ケア教育の必要性を報告した。
 浜松(総合病院を中心に整備されている)地域の薬剤師・前堀先生は、調剤薬局薬剤師の責任と課題としてP浜ネットの活動を紹介しながら多職種連携における薬剤師の立場と役割を明らかにした。訪問看護師の佐藤先生は、在宅療養を支える訪問看護師の役割について述べる中で、カンファレンスにより顔の見える関係構築から、一歩進んで心が見える関係作りへの転換の必要性を促した。
 全体討論を通して、医療者や患者・家族のナマの声を自由に拾い上げながらOPTIMの有用性を再認識できたことが、参加者間のOPTIM介入プロセス評価の共有に役立ったようだ。2年後のアウトカム・プロセス研究の最終結果報告が今から待ち遠しくなる意義深いディスカッションであった。

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